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【観劇レポ】ミュージカル『トップ・ハット』(Top Hat) @ Aldwych Theatre, London《2013.4.30マチネ》

TOP HAT at Aldwych Theatre

TOP HAT at Aldwych Theatre

 UK旅行の火曜マチネでは、新作ミュージカルの『トップ・ハット』(Top Hat) を観に行って来ました。Top Hatはちょうど2013年のオリヴィエ賞でBest New Musical賞を受賞したばかりでした。

 Jerry Travers : Alan Burkitt (us)
 Dale Tremont : Kristen Beth Williams
 Horace Hardwick : Clive Hayward
 Madge Hardwick : Vivien Parry
 Alberto Beddini : Alex Gaumond
 Bates : Stephen Boswell

 見ての通り、主演のJerry役はGavin Leeさんではなくてアンダースタディさんでした。Gavinは年始にブロードウェイでMary PoppinsのBert役で観ていて、天井タップが素晴らしかったので観るのを楽しみにしていた役者さんの一人だったので、「Gavinじゃない!」と思ったときには少し残念だったのですが、アンダースタディAlanさんも本当に素晴らしかったです。

  主演男優であっても、ソロナンバーや見せ場は助演の人より気持ち多いかなー、という作品もあるのですが、Top Hatは元ネタはFred Astaire (Jerry) & Ginger Rogers (Dale) というダンスで魅せる大スターを全面に押し出した映画作品。当然Jerry役の俳優さんはほとんど出ずっぱりなわけです。

 普段は別の役をやっていながら、あれだけ素晴らしいタップダンスを事も無げにやってのけるAlan Burkittさんは本当にすごいです。それもそのはず、彼はAll-England Tap Dancer of the Yearにも選ばれたことがあるすごいダンサーさんだったのでした。

 ダンスだけではなく、声も正当派な感じの美声で歌もうまい!歌声はオリジナルキャストのTom Chambersさんより好きかもしれません。改めてWest Endの役者さんのレベルの高さに舌を巻きました。

 6/26まで投票を受け付けているWest End FrameのUnderstudy of the Year 2013にもかなり上位に食い込んでいて(2013/5/29現在、BoMのElder Price usのAshley Dayさんに続いて2位)これからが本当に楽しみな役者さんに出会えて良かったです!アットホームな雰囲気が気に入ったChichester Festival Theatreの舞台にも何回か立っているのも個人的にポイント高い(笑)ツイッターでも書きましたが、AlanさんのJerryはブロードウェイの大スターには正直見えないんですが、一直線に恋するJerryの演技が説得力があってすごく可愛いんですよねー♡

と、完全に観劇レポではなくただの役者さん語り(それもAlanさんのみ)になってきたので、いい加減舞台の話に戻るとします。(ネタバレ注意!)

 

 先述の通り、Top Hatはブロードウェイと銀幕の大スターだったFred AstaireとGinger Rogersという二人の大物俳優を起用した往年のラブコメミュージカル映画です。音楽は映画のオリジナルスコアをそのまま利用していて、どれも名曲ぞろい。タップダンスと社交ダンスの華やかなナンバーが続きます。

 特に私が気に入った曲は、JerryがDaleが乗った馬車の御者とこっそり入れ替わったときに歌う「I’m Putting All My Eggs in One Basket」と一幕ラストの「Top Hat, White Tie and Tails」と二幕のDaleとJerryのダンスナンバーの「Cheek to Cheek」「Let’s Face the Music and Dance」。ベタなセレクションですみません…(^ ^;)

 ダンスとしては公演で雨宿り中のJerryとDaleがはじめていっしょに踊る「Isn’t This A Lovely Day (To Be Caught in the Rain?) 」も素敵でした。このシーンでDaleは乗馬服を着ているのですが、この乗馬服がすごくKristenさんに似合っているのですよね!

 Daleはとても独立心が強くて先進的なかっこいい女性という役柄。そのかっこよさが思う存分堪能できるのが二幕二番目の曲の「Wild About You」

 『Top Hat』のストーリーは、恋愛に無頓着だったブロードウェイの大スターであるJerryがロンドンのホテルで出会ったDaleに一目惚れをし、かなり積極的にアプローチをかけて恋仲になったはいいが、とある誤解によりJerryが妻帯者、しかもDaleの親友のMadgeの旦那さんであるとDaleが勘違いしてしまうことにより話がこじれていき…といった感じです。

 「Wild About You」はそんな勘違いをしたDaleが、Jerryにお灸を据える目的で自分自身も既婚者であると偽ってJerryに大胆に迫るナンバーなのですね。ここはKristenさんの美しいおみ足をガン見するところだと勝手に思っています(笑)不倫の恋を積極的に迫るDaleにタジタジなJerryも、Daleの嘘がばれて一気に有頂天になるJerryとそれとは対照的に怯んだDaleもすごくかわいい!

 そんな勇ましいDaleが道ならぬ恋に悩んで歌う「Better Luck Next Time」もDaleの繊細な一面を伺わせるきれいな曲ですよね。

 DaleがJerryをあきらめるための相手として選んだのが、彼女に心酔しているイタリア人のファッション・デザイナーのAlberto Beddinni。Beddinni役は他の舞台では主演経験も多いAlex Gaumondさんが演じています。

 Beddinniはステレオタイプのイタリアの伊達男、といった雰囲気でソロナンバーは一曲しかないものの、かなりの強烈な存在感を放っています。彼のソロナンバーはセクシーなパジャマ姿に要注目です(笑)とても素敵な大胸筋でしたw 二幕目はほとんどずっとこのパジャマにローブを羽織っただけの姿で大立ち回りをしてくれます。

 JerryとDaleの仲がこじれるきっかけとなってしまうHardwick夫妻は完全なるカカア天下。夫を完全に尻に敷いているMadgeを演じているVivien Parryさんは貫禄抜群。気弱だけど女好きな紳士のHoraceを演じているClive Haywardさんもチャーミングでした!Hardwick家の個性的な執事、Bates役のStephen Boswellさんもいい味を出していました。

 この作品だから必然的にそうなったのかもしれませんが、アンサンブルの方のダンスのレベルが相当高い!大勢で魅せるタップダンスのナンバー、華やかな舞踏会のシーンはともにすごく素敵でした。女性の色とりどりの夜会服もすごく綺麗ですし、背の高いキャストのみなさんが着こなす燕尾服も素敵。オリヴィエ賞の衣装賞受賞も納得です。

 新作ミュージカル賞を受賞したのにも関わらず、今年中にクローズしてしまうという噂も聞きますので、観るかどうかを迷っている方には是非おすすめしたいです。安心して楽しめる作品です!


 [2018.2.10 追記]
 この記事は移転元のtumblrからはてなブログに移行する際に、日本語での可読性を上げるために元記事に併記していた英語のレポート部分を削除し、その他もろもろを修正しています。英語も併記されている元記事に興味がある方がいらっしゃれば、こちらをどうぞ。

[Theatre-Going Report] April 30th, 2013 (Tue) Top... - simple and clean?

  余談ですが、本記事で紹介しているJerry役のAlan Burkittさんですが、『トップ・ハット』の来日公演の際も主演をつとめていらっしゃいました。久々に観れたときはうれしかったなぁ...^ ^