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劇場に行くためにどこでもドアが欲しいミュージカルオタクの観劇記録と観るためのあれこれ

【観劇レポ】ミュージカル『スリル・ミー』 (쓰릴 미, Thrill Me) @ Baegam Art Hall, Seoul《2017.2.25ソワレ》

2017/2/25 ソワレの『スリル・ミー』キャスト

  2017年2月末に10周年記念公演中の韓国版ミュージカル『スリル・ミー』(쓰릴 미, Thrill Me) で遅ればせながらスリルミデビューしてきました。私が観た回のキャストは

 나 (私) : チョン・サンユン さん
 그 (彼) : エノク さん
 ピアニスト:イ・ボムジェ さん

でした。

(以下、登場人物の「私」と筆者の一人称の「私」が紛らわしいので後者は「ワタクシ」と表記いたします。)

 数々のミュオタの婦女子のみなさまを夢中にし続けているスリルミ。ワタクシ自身は作品自体に好奇心は持ちつつもなんとなく観劇に至るきっかけがないまま過ごしていたのですが、10周年記念公演に相応しい豪華キャストに盛り上がるみなさまの熱に後押しされてついにデビューしてきました。というわけでワタクシはスリルミ超初心者でございます。並み居るスリルミ愛好家のみなさまのような鋭い着眼点の素敵なレポは書けないので、期待しないでください。いやホント、お願いします。マジで。

  さて、記念するべきワタクシのスリルミデビューペアとなったサンユンさん私とエノクさん彼。いきなり問題発言ですが、観終わった後のワタクシの正直な感想は

「あれっ・・・多分スリルミデビューするペアを間違った気がする・・・」

でした(滝汗)

 サンユンさんもエノクさんもワタクシと同世代。加えて、お二人ともかなりの長身で存在感たっぷり。観はじめた直後の感想は

「二人とも、とても大学入りたてには見えない・・・むしろオッ(以下自粛)」

 ・・・ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、みなさん石を投げないで〜!でもそこが理由で「間違った気がする」と思ったわけでは無いのです。この際だから失礼を承知で正直に書くと、存在感というか威圧感がハンパないお二人にびっくりして若干引き気味で観劇していたのですが、すぐに演技派の二人の表情豊かな演技に引き込まれて、役の年齢設定と演者の年齢の差なんてことは全然気にならなくなりました。特にサンユンさん私は回想時と、事件当時の時間の往き来の切り替えが本当に鮮やかで、衣装が全く変わらなくとも立ち方だけで断罪されている「今」の私なのか、若かりし頃の私なのかが一目瞭然で、やっぱり本当に演技の巧い俳優様だなぁと感嘆しました。しかしながら、このサンユンさんの「私」が相当な曲者だったわけです。

サンユン私に対する個人的な印象を端的に言うと、

 「何この人怖い。怖すぎる」

に尽きます。サンユン私の彼への執着っぷりはそんじょそこら(?)のヤンデレが可愛く思えてくる狂気を感じられずにいられません。なのに、その恐ろしいまでの執着っぷりは「どうしようもなく彼に焦がれるいじらしい私」という姿に擬態されていて、エノク彼は全くその事に気付かない。なのに、観客の前ではその舞台裏の昏い願望が丸見えなのです。サンユンさんはこういう狂気を感じる役を演るとホントにハマりますよね。凄い。エノク彼はサンユン私と比較すると、多少頭が良かろうとモテようも良くも悪くも普通の人なので、首尾一貫底の見えない腹黒な私と打って変わり最初のカッコつけて余裕な感じと、終盤のボロボロ加減の対比が印象的でした。完全に脇道逸れるけど、エノクさんのあの大ジャンプは凄い。

 「リチャード逃げて!全力で逃げて〜!!」

と思わず心の中で叫んだ人はきっとワタクシだけじゃないはず。あの大ジャンプを可能にする脚力を活かすべきポイントはここですよね。(←)

 「スリルミって立場が弱かった私と彼の力関係が逆転する様子とか、その意外性が見所のミュージカルなんじゃなかったっけ?最初からドス黒い腹の内見えちゃっているけど、そういうお話なんだっけ?というかワタクシのストーリーの理解、これで本当に合ってる?え、ホントに何が起きてるの?!(°_°)」

とワタクシは大混乱。事前の予習不足と韓国語の語学力不足、日頃の激務による体調不良も祟って、最後まで本当に自分の理解が合ってるのかイマイチ自信が持てないままボーっと観ているうちに終演を迎えてしまいました。なので正直消化不良で不完全燃焼。きっとスタンダードな感じのペアを観た後にきっちり予習して観劇に挑んだのであれば、何倍も楽しめたんだろうなぁという思い故に、最初に書いた感想に至ったわけです。

 というわけで、一部の方々の予想をよそにワタクシはスリルミ沼の住民になるには至りませんでした。お祭りに乗り遅れたようでなんか寂しいし、色々と消化不良を起こしちゃったのが悔しいので、いずれはまたリベンジしたいなぁと思っています。次回は是非準備万端で挑みたい!