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劇場に行くためにどこでもドアが欲しいミュージカルオタクの観劇記録と観るためのあれこれ

【観劇レポ】ミュージカル『今日初めて作るミュージカル』 (오늘 처음 만드는 뮤지컬) @ TOM Theatre, Seoul《2018.7.14ソワレ》

 去年ホン・ウジンさんが出演するのを知り、気になりつつも観るのを見送った『今日初めて作るミュージカル』(오늘 처음 만드는 뮤지컬)。タイトルそのまま、毎回内容が変わる即興ミュージカルということで「私の韓国語力では無理だ!」と去年は観るのを断念したのですが、フォロイーさんのおすすめもあり、私自身どうやって即興でミュージカルを作っていくのかすごく興味があったので言葉の壁に玉砕する覚悟で観てきました。結論を先に書くと、心配は杞憂でめちゃくちゃ楽しかったです。毎回毎回、その場でミュージカルを作っていくという離れ業をやってのける演出と俳優のみなさま。私が観劇した回は以下の通りのみなさまでした。

 演出キム・テヒョンさん
 俳優1:ハン・セラさん
 俳優2:ソ・ジョンファさん
 俳優3:パク・ウンミさん
 俳優4:ホン・ウジンさん
 俳優5:アン・チャンヨンさん

 「演出ってどういうこと?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、演出はそのまま言葉通り演出家さんで、その日に決まったテーマで俳優さんたちと共に物語の流れをその場で作っていくのが演出家の方なのです。

 私が観た『今日初めて作るミュージカル』の回ではまず最初に男優二人のウジンさんとチャンヨンさんが舞台に登場。おもむろに二人は「カイガイゴッ!」とじゃんけんをはじめます。負けたウジンさんは上演開始前の挨拶と諸注意を客席に向けて説明。その後、他の俳優さんたちが合流して、「参加型ミュージカルなので、ぜひ恥ずかしがらずに積極的に参加してください」というようなことを話します。うん、参加したいのはやまやまなんですがね、何分言葉が不自由でして…とゴニョゴニョ思っているうちにオープニングナンバーがスタート。その後は、本日作っていくミュージカルのお題目を観客が提案し、内容をどんどん固めていく作業に入ります。「主人公の名前は?」「作品のタイトルは?」「主人公の特徴は?夢は?年は?」「舞台の場所は?」「劇中に登場する台詞は?」…こういった質問に対して、観客は自由に思ったことを発言していき、何を採用するかはその場で演出のテヒョンさんが決定。じゃんけんに負けたウジンさんは決まっていった内容を舞台に設置された黒板に次々と書いていきます。聞き込みに参加できず手持ち無沙汰なのか、時々落書きをするウジンさん(笑)俳優さんに当てられたらどうしようと無駄にドキドキしていましたが、常連さんやノリノリの演劇好きの観客の方がたくさん積極的に発言してくれるので、最前列とか2列目センターとかのやる気満々席以外であれば、おそらく心配無用かと思います。

 同じ回を観られてた方のツイートを拝借。右が私が観たソワレの黒板です。タイトル『라이언 킴 구하기』。ツイートでは、『ライオン・キムの救済』と訳しましたが、内容からすると『ライオン・キムの捜索』とかの方がいいのかも。主人公はライオン・キム、24歳の韓国語が上手く話せないライオンとのハーフの女の子です。なんとなくこの辺で、この作品のノリがわかりますね(笑)

 そうやって無事本日演じられるミュージカルの大枠が固まった後は、主人公選出のフェーズへ。それぞれに歌いながら「私こそが主人公にふさわしい!」と名乗り出てアピールする俳優様たち。ここで無言でにじり寄るようににやーっと笑って客席に近づくウジンさん(笑)ここで主人公を選出するのも演出のテヒョンさんです。この日の主人公に選出されたのは、俳優2のソ・ジョンファさん。ホットパンツからスラリと伸びる美脚と人懐っこい笑顔が魅力的なキュートな女優さんです。あれ、主人公決めてから物語の詳細を固めていく感じだったかな?まぁ、そんな感じです。細かいことは気にしない!(←)

 さて、ミュージカルの大枠は決まったものの、この時点ではそれだけしか決まっていない本日のミュージカル。ここからしばらく俳優さんたちの即興で物語が進行していきます。一体どういう仕組みでそれが可能なのかは皆目私には見当がつきません。この人たち凄い...。歌は何種類かパターンがあって、それに即興で歌詞をのせていってるのでしょうか?どっちにしろこの人たち半端ない!

 そうやって俳優さんたちが即興で頑張っている間、演出のテヒョンさんが舞台脇に設置されてる演出家のデスク上のノートパソコンでゴリゴリガリガリ脚本、あるいは筋書きぽいものを書いていきます。(内容は観客には明かされません)主人公と数名の俳優を残し、演出家のデスクに回り、相談をしながら内容を頭に叩き込んでいく俳優さまたち。主人公のジョンファさんはずっと舞台に出ずっぱりなので、脇に回った俳優さまたちに導かれながらライオン・キムの物語は進行していきます。育ての親のおばさんに励まされて、産みのお母さんを探しにいくことになるライオン・キム。母を求めて何千里〜。

 後日公式ツイッターから配信されたこの日の公演のシノプシス紹介ツイートはこちら。

ざっくり意訳するとこんな感じです。

蒸し暑い夏、それぞれの店を代表する動物たちが集まって街頭の人たちにチラシを配っている。 その中で目立つ一人がいる。 他はすべて本当の動物たちだが、唯一、仮面をかぶって働いている24歳のアルバイトのライオン・キム。半分は人間だけど半分はライオンであるため、臭いに敏感で素早い動きのライオンの夢は、幼い時に離ればなれになった実の母と再び会うこと!母の行方を探していたところ、肉(提供:私たち豚のお金)を包んで食べれば母がいたところに行けるという事実を知ったのだが…。しかし、そこには悪徳事業主、ジェシキョ・アルバが待っていた。

「ライオンは死なない。 ただ、倒れるだけだ!」

 はい。「考えるな、感じろ!」というやつです。ちなみに私がこのシノプシスを見る前までの物語の理解は以下の一連のツイートのスレッドで書いているので興味がある方は下記をどうぞ。色々間違っているのはご愛嬌ということでお願いします!(←)

 
 ちなみにこの物語の悪役、悪徳事業主のジェシキョ・アルバですが、アロハシャツに赤い短パン、サファリ帽にメガネ、ちょび髭の男性です。はい、みなさまの予想通りウジンさんです。私にも韓国語教えて欲しい!(詳しくは上のツイートのスレッドをご参照くださいw)


2018.7.14 ソワレのカーテンコール

 
 マチネに観たのが手に汗を握る緊張感にあふれる『スモーク』だったので「ものすごい組み合わせで観てしまったな」、という気持ちは否めず(笑)マチネを観て色々考えてぐるぐるしていた脳内が笑いに次ぐ笑いで見事に解きほぐされて、めちゃくちゃ楽しかったです!毎回これを違うネタでやっている演出さんも俳優さんたちも本当にすごい!!毎回こんなコメディな感じに流れるのかは1回しか観ていないので不明ですが、観客が出してきた奇想天外なネタを抱腹絶倒な物語に強引にまとめあげてくれると思われるので、構えずに観れる楽しい作品が観てみたいなぁという方はぜひぜひ『今日初めて作るミュージカル』も観劇の候補に入れていただけたら。他の回がどんな雰囲気なのかとても気になるので、ぜひ他の方の感想も聞いてみたいです!