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劇場に行くためにどこでもドアが欲しいミュージカルオタクの観劇記録と観るためのあれこれ

【コンサート】イ・ボムジェ ピアノコンサート (이범재 피아노 콘서트, Lee Beom Jae Piano Concert) @ Daehakuro Ja-U Theatre, Seoul《2018.12.29マチネ》

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 2018-2019年の年末年始の観劇(?)2本目は韓国ミュージカル界でピアニスト、そして音楽監督としても活躍中のイ・ボムジェさんのピアノコンサートに行ってきました。ボムジェさんがピアニストを務めた時に私が観劇したことがあるのはミュージカル『ラフマニノフ』の全4回と『スリル・ミー』1回の合計5回1。特に『ラフマニノフ』では、ピアニストの方は主演ラフマニノフの分身と言えるぐらいの重要なのでとても印象に残っていたボムジェさんのピアノの演奏。そんなボムジェさんのコンサートに推し俳優様のキム・ギョンスさんがゲスト出演すると韓ミュ仲間の友達に教えてもらい、「これは行かなくては!」とチケットを入手して行ってきたのでした。

 2018年12月29日、30日の二日間に渡って合計4回開催されたボムジェさんのコンサート。私が行ってきたのはその1回目で、1回目のゲストはギョンスさんともう一人、ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』で男性ながらコロンビア役にキャスティングされたことが話題になったソン・ユテクさんでした。

 全4回を通してボムジェさんとともに演奏するゲスト奏者にはチェリストイ・ジェホンさんとバイオリニストのナム・スンヒョクさん。スンヒョクさんはボムジェさんと一緒に『ラフマニノフ』にバイオリニストとして共演していたことがあるようです。(昔のキャストボードを確認してみたところ、4回のうち2回はスンヒョクさんが奏者として出演している回でした。)チェリストのジェホンさんもてっきりボムジェさんとは『ラフマニノフ』で共演していたと思っていのですが、調べてみたところ、『ラフマニノフ』に参加していたチェリストの方は別の方の模様。お二人の接点が何なのかが気になります。

 コンサートの途中でボムジェさんがお二人を紹介して二人にも自分で挨拶をするように促していたのですが、途中でボムジェさんが話をさせるのを諦めてしまうくらいお二人のトーク慣れしていないっぷりがなんか可愛くて微笑ましかったです。演奏はプロだけにそのギャップにキュン。

 公演開始はユテクさんの注意事項案内のアナウンスでスタート。高めでとてもキュートな声のユテクさん。若干カミながらも(笑)擬音語混じりで笑いを取りながら開演前の少し緊張感が漂う劇場の空気をほぐしてくれました。「緊張しているイ・ボムジェピアニストを温かい拍手で迎えてください〜」(雰囲気意訳)というユテクさんの言葉通り、全4回のコンサートの初回、しかもボムジェさんにとっては久しぶりの自分が主役のコンサートということで、最初はちょっと緊張した面持ちだったボムジェさん。普段穏やかで優しそうな雰囲気を醸し出しているボムジェさんなので、そんな姿も好印象。

 残念ながらコンサートのセットリストを見つけることができなかったので、私がわかった範囲でコンサートでボムジェさんが弾いた曲を挙げると、ミュージカルラフマニノフから1曲、ミュージカルウェスト・サイド・ストーリー「Tonight」のアレンジ、ディズニー曲メドレーリベルタンゴ、ミュージカル『死の賛美』から1曲、『ミッドナイト』のメドレーにボムジェさんのオリジナル曲もいくつか。『ラフマニノフ』の曲は歌われるナンバーではないので曲名がわからないのですが、ラフマニノフがズヴェーレフ先生との思い出を象徴している赤いコートを先生の墓前に捧げる時に流れるメロウな雰囲気の曲で、この場面がとても好きな私にはとてもうれしかったです。ディズニー映画も好きにはディズニーメドレーはたまらないし、「リベルタンゴ」もその大昔にこの曲目当てにTSUTAYAヨーヨー・マのCDをカ借りたかっこよくて好きな曲なのでうれしい。ボムジェさんが音楽監督を務めているミュージカル『ミッドナイト』はこの時点では未見だったのですが、楽曲のかっこよさにかなり作品への期待値があがりました。ボムジェさんのオリジナル曲も好き!というかボムジェさんの選曲があれもこれも好みすぎる!

 ゲストのお二人はそれぞれ3曲ずつ歌ってくれました。最初のゲストはユテクさん。ユテクさんとボムジェさんはミュージカル『トゥモロー・モーニング』で初めて共演されたそうです。その時のオーディションのエピソードを話してくれたユテクさん。人懐っこい笑顔が素敵なユテクさん、かなりお話好きの方とお見受けしました(笑)なんどもボムジェさんが「次の曲は〜」とか「最後の曲は〜」と話を切ろうとするのを遮って話し続けること数回。トーク中「ほっといたら『トゥモロー・モーニング』まで話し続けるからね〜」と本人自ら言っていたような気が(笑)かわいい。とても長身のボムジェさんの隣に小柄なユテクさんが並ぶとなんだかデコボココンビっぽくてそれもかわいかったです。ユテクさんが歌った曲のうち最初の曲ははタイトルがわからなかったのですが(多分ミュージカル曲ではなく歌謡曲)、2番目の曲はその『トゥモロー・モーニング』からの楽曲。タイトルを聞き漏らしてしまったのですが、歌い手の人物が結婚を前にその心境を歌う曲と説明されていました。

 止まらないトークの果てについにたどり着いた(←)ユテクさんの最後の曲はフランク・ワイルドホーン作曲の韓国では未上演ミュージカル『ワンダーランド』から「Finding Wonderland」。韓国未上演の作品なので当然韓国版歌詞はないこの曲。なんとユテクさんはこのコンサートのために自ら歌詞翻訳にチャレンジして、その訳詞で歌ってくれました。YouTubeにオリジナルの英語歌詞のカバー動画を見つけたのでリンクを貼っておきます。(男性がカバーしている動画もあったんですが、高音がきれいなユテクさんは元の女性向けのキーで歌っていたと思うのでこちらを選択)訳詞の言い回しの自然さやオリジナルにどれだけ忠実かは私にはわからないですが、歌詞がすごく自然にメロディにのっていてユテクさんの才能に感服。


ミュージカル『ワンダーランド』より「Finding Wonderland」
 

 二人目のゲストはギョンスさん。ギョンスさんの最初の曲はミュージカル『私とナターシャと白いロバ』(나와 나타샤와 흰 당나귀) 「いつの間にか」(어느 사이에) 。ボムジェさんが前奏を弾き終わる直前に舞台に登場したギョンスさんが来ていたのは黒いタートルネックに同じく黒いタイトパンツの上に白いジャケット。今更思い当たりましたが、ギョンスさんは公演中は私服もどこか演じている登場人物の雰囲気を纏った服装が多いらしいので、もしかしたら白いジャケットは白石2をイメージしていたのかもしれません。コンサートではあるけど、かなり役に入って歌ってくれたギョンスさん。この曲は白石の寄る辺ない孤独な気持ちを表現した詩を歌詞にした悲愴的だけど美しい曲で、途中の間奏部分で「北關の女」(북관의 계집) のメロディが登場する部分が堪らなく好きなんですよね。そこをしっかり聞かせてくれるボムジェさんのピアノも、時には声を掠れさせながら情感的に歌い上げるギョンスさんの歌も最高でした。ギョンスさんが歌っている「いつの間にか」の動画は残念ながら残っていないので、代わりに私の中で白石役といえばこの人、妖精様ことカン・ピルソクさんのプレスコール動画を貼っておきます。


ミュージカル『私とナターシャと白いロバ』より「いつの間にか」
 

 ギョンスさんが2曲目に歌ったのはミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』の作曲家でもあるミュージシャンのソンウジョンア (성우정아) さんの「百年偕老」(백년해로) という曲。ソンウジョンアさんはギョンスさんの大学の先輩でもあるようです。ツイッターでもこの曲をいつかカバーしたい好きな曲として紹介していたギョンスさん。曲と一緒にツイートで紹介されていた、亡くなった大切な人たちに会える不思議なホテルのような場所を舞台にしたミュージックビデオも凄く素敵でとても印象に残っていたのでギョンスさんのカバーバージョンがコンサートで聴けてうれしかったです。このMV、ソンウジョンアさんの切なげな歌声も相まってなんか見ると泣きそうになっちゃうんですよね。


Sungwoo Jung A 「百年偕老」ミュージックビデオ
 

 ギョンスさんのラスト1曲はボムジェさんとの出会いの作品でもある『ラフマニノフ』から「アンニョン、ラフ」(안녕, 라흐) 。劇中でギョンスさんが演じる精神科医ニコライ・ダール先生が演奏するビオラに関する失敗エピソードについても話してくれました。劇中ではこの曲の後にダール先生がラフマニノフに残したメッセージを口にする台詞があるのですが3、この日はコンサート向けに少しアレンジして

여러분들은 이미 사랑받은 사람입니다.
みなさんはすでに愛されている人たちです

良いお年をお過ごしください
새해 복 많이 받으세요

 と言い、舞台を退場したギョンスさん (*´꒳`*)トークの中でボムジェさんのオリジナル曲も好きだと言ってたギョンスさん。「曲はすごく好きだけど、歌詞がないから」ということをギョンスさんが言うと、「(ギョンスさんが)書けばいいじゃないですか」とさらっと提案してくれたボムジェさん。次はボムジェさん作曲、ギョンスさん作詞の作品、コンサートのリップサービスに終わらせないで是非実現してくださいね!超期待して待ってます!

 ボムジェさんのピアノの演奏はもちろん、ゲストお二人の歌もバイオリニストの方とチェリストの方の演奏も素敵でとても耳福なコンサートだったボムジェさんのコンサート。私が座っていた上手側は一番チェリストの方が近い配置だったからという訳でもないですが、チェリストのイ・ジェホンさんのチェロの音色と演奏の仕方があまりにも艶やかで素敵だったので気がついたら結構ボムジェさんをそっちのかしてジェホンさんを見つめてしまう自分がいたり(←)ゲストの方が歌った曲を含めて、全体的に選曲もめちゃくちゃ私好みで、素敵な音楽を浴び続けた本当に素敵な時間でした。「このコンサートが気に入ったなら、今日の7時も明日もまたやってますので!」という宣伝は笑って流してしまいましたが、またボムジェさんのコンサートがあれば、是非行きたいです!


  1. もしかしたらヤン・ジュンモさんプロデュースのオペラ『リタ』もボムジェさんのピアノだったかもしれないです。その時のキャストボードが無かったら確認できず…。

  2. ミュージカル『私とナターシャと白いロバ』に登場する主人公ジャヤの想い人の韓国の詩人。ペクソクと読む。

  3. 元の台詞が知りたい方は『ラフマニノフ』の観劇レポをご参照ください。これとか。http://theatre-goer.hatenablog.com/entry/2018/07/11/234452