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【観劇レポ】ミュージカル『明洞ロマンス』(명동 로망스) @ Theatre Dasani, Seoul《2018.12.30ソワレ》

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 2018-2019年の年末年始の観劇5作品目は韓国創作ミュージカルの『明洞ロマンス』(명동 로망스) を観てきました。前日の『風月主』に引き続き、二日連続でソン・ユドンさんが出演する舞台でした。2015-2016年の初演、2016年の再演に引き続き今期の『明洞ロマンス』はソウルでは三度目の公演。1 写真のキャストボードの通り、私が観劇した日のキャストのみなさんは以下のみなさまでした。

 チャン・ソノ:ソン・ユドンさん
 イ・ジュンソプ:キム・スヨンさん
 チョン・ヘリン:チョ・ユンヨンさん
 パク・イナン:チェ・ホジュンさん
 ソン・ヨイン:チョン・ダヒさん
 チェ・ホンウィ:チョン・ミンさん

 ちなみに初演、再演では同日のマチネに『ミッドナイト』のビジター役で観たコ・サンホさんがユドンさんと同じ主役のソノを演じていたようです。

あらすじ

 まずはplayDBに掲載されていた過去の『明洞ロマンス』の公演のあらすじをざっくりと意訳したものをご紹介します。

1956年の明洞のロマンス喫茶店、そしてそこに集まる芸術家たち

 明洞住民センターに勤める9級公務員のソノ。退勤時間と週末だけを待ちながら無味乾燥に暮していたソノはある日、明洞の開発に邪魔になる古い喫茶店一つを撤去する計画に参加することになり、不思議な力によって当代の多くの芸術家が集まった1956年明洞のロマンス喫茶店に辿り着く。

 未来から来たという言葉にも驚くより面白がる明洞の人達は、現在に帰る道を探しながらロマンス喫茶店に寝泊まるようになったソノに未来について尋ね、ソノは偶然披露したラテアートのおかげで画家とまで認められる。

 喫茶店の芸術家の中で家族と暮らすために絵を辞めるという画家、イ・ジュンソプと知り合ったソノは、偉大なる画家として名を残すジュンソプの未来を話すが、ジュンソプは家族に対する責任と恋しさにも絵を手放すことができず夢を見る自分の姿に苛まれる。 ジュンソプの苦しい告白と今この瞬間を熱く生きなければならないという文学少女の挑発が望むことなく穏やかだったソノの心を揺るがす。

 警察は未来から来たと噂されるソノを政治的に利用しようとするが、ソノは多くの人々の前で警察が指示した言葉の代わりに自分が望む世界に対する扇動的な言葉を言い、ソノとロマンス喫茶の芸術家たちは警察署に連れて行かれて取り調べを受けることになるが...

感想

 「実在の韓国の芸術家たちが出てくるタイムスリップもの」というぐらいの上で翻訳したあらすじ以上にざっくりとした前情報で観劇に挑んだ私。作中に登場する画家のイ・ジュンソプ、作家のチョン・ヘリン(あらすじで言うところの文学少女)、詩人のパク・イナンは韓国では有名な芸術家らしいのですが、その辺をおさえられていない私はもう少し予習してから観劇に挑めばよかったなぁと少し反省。特に画家のイ・ジュンソプは韓国では誰でも知っている有名な画家で、劇中通りに奥さんが日本人なので日本語での情報も結構多くて。少し調べてみたら彼が日本で離れて暮らす奥さんと子供達に宛てた素敵なイラストつきの情熱的なラブレターなんかもWebで見ることができて、彼の壮絶な人生を知るうちにちょっと泣きそうになってしまったりしました。

 ソノ役としてのユドンさんは本当にどこにでもいそうな普通の青年という感じで。黒いカフェエプロン姿やちょっとぎこちない感じのダンスもとても可愛かったです。ソノはこう書いては何ですが、最初は主人公なのに一番地味ぐらいの存在感なのに、ロマンス喫茶に入り浸る芸術家達、特にジュンソプやヘリンと接していくうちにどんどんと活き活きとしていく姿の変化が良かった。脇を固める俳優さんがまたみんな個性的で味があって。ユンヨンさんのヘリンはちょっとツンツンしているけど生命力に満ち溢れてキラキラしている感じが素敵だし、スラッとしてスマートな雰囲気のルックスと裏腹にかなり癖のある役が多いミンさんもすごく印象に残ったし、家族を想って寂しそうにしている姿が哀愁漂うスヨンさんのジュンソプも良かったし、茶目っ気たっぷりのダヒさんのママも素敵だったし、イナン役のホジュンさんも渋くていぶし銀だけど大らかな感じの雰囲気が良かった。

 コミカルな感じの雰囲気で展開していく物語だけど、最後は気がついたらしっかり泣いていました。人情味溢れる個性豊かな人々の人生にスポットを当てているコメディだけど泣ける作品という意味では、ロングラン中の韓国創作ミュージカルの『パルレ』に少し雰囲気が似ているかもしれないと思ったり。次もしまたこの作品を観る機会があれば、もう少しちゃんと予習してから観劇にチャレンジしたいな、と思いました。


  1. 正確に書くと、2016年の再演は3月22日から4月24日にかけての約一ヶ月間の公演とは別に、8月に二日限定の公演も行われています。