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劇場に行くためにどこでもドアが欲しいミュージカルオタクの観劇記録と観るためのあれこれ

【観劇レポ】ミュージカル『Six』@ Art Theatre, London《2019.5.3ソワレ》

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 2019年のGW渡英観劇旅行のラストはツイッターのフォロイーさんのツイートで気になっていた新作ミュージカルの『Six』を観てきました。『Six』はイングランド国教会の初代首長として歴史に名を残すチューダー朝イングランド王ヘンリー八世の6人の妻達をガールズポップグループに見立てて、リード歌手の座を巡って不幸自慢大会ライブをするというストーリー。

Divorced, Beheaded, Died
離婚、斬首、死亡
Divorced, Beheaded, Survived
離婚、斬首、生存

というインパクトのありすぎるオープニングからガッチリ心を掴まれてクイーン達のライブをめいいっぱい楽しんできました。私が観劇した日の6人のクイーンズは写真のキャスト表の通り以下のみなさま。

 キャサリン・オブ・アラゴン (Catherine of Aragon)
  Jarneia Richard-Noelさん
 アン・ブーリン (Anne Boleyn)
  Vicki Manserさん
 ジェーン・シーモア (Jane Seymour)
  Natalie Parisさん
 アン・オブ・クレーヴズ (Anna of Cleves)
  Alexia McIntoshさん
 キャサリン・ハワード (Katherine Howard)
  Grace Mouatさん
 キャサリン・パー (Catherine Parr)
  Maiya Quansah-Breedさん

 結論から先に書くと超楽しかったしよかったです!中学の歴史の先生がチューダー朝マニアだったこともあり、ヘンリー八世の6人の妻達はテスト勉強のために全員名前を覚えていてそれぞれのエピソードにも馴染みがあった私。そのへんの歴史を知っていたらさらに楽しめるとは思いますが、クイーンズはそれぞれの割と悲惨な身の上話を面白おかしく楽曲を通して紹介してくれるので、詳しくない人でも問題なく楽しめる気がします。そしてこの楽曲が凄く耳に残る良曲揃い!クイーン達のインスピレーションとしてパンフレットに名前が挙げられている女性アーティスト達も有名どころばっかりなので、そんなディーヴァ達に馴染みのある方はさらにニヤリとできること請け合い。UKチャートを飛び抜けて世界中を席巻した元祖「ガール・パワー」のスパイス・ガールズ (SPICE GIRLS) をなんとなく彷彿とさせるパワフルでエネルギーを感じる作品でした。

 すでに書きましたが、『Six』は何と言っても曲が良いのでいくつか動画をご紹介。


2019年のオリヴィエ賞でのパフォーマンス「Ex-Wives」
 

BBC Oneでのパフォーマンス「Don't Lose Your Head」
 

歌詞付きMV「Six」
 

ミュージカル『Six』カーテンコール
(カーテンコールは撮影OKです)

 

 終演後、ふらふらと吸い込まれるように物販ブースに並んでラスト1枚になっていたオリジナルキャスト盤のCDを買いましたが、iTunesAmazonミュージック、Spotifyでもキャスト盤が試聴できるようになっているので気になった方はぜひ。私はCDとパンフレットだけ購入でしたが、タンブラーやキャップ、TシャツなどのMDも小学生やティーンと思われる若い子達に飛ぶように売れてました。

 写真を撮らなかったのが悔やまれるのですが、現在『Six』を上演しているロンドンのアート劇場に併設されてるパブの片隅にはクイーン達のファンアートのコーナーも。さらにはキャスト盤もUKチャート入りしていて、大人気の『Six』。キャラ立ちが半端なくて個別にファンがついていると思われる1クイーン達に中毒性の高いキャッチーな音楽。さらに「王の妻」という記号めいた形でしか歴史に名が残らない数々の「彼女達」を生き生きとエンパワーメントさせるラストは気負った感じがしないのにエモーショナルで。観ている最中は気分が上がって盛り上がるのに、後々じっくり曲を聴くとグッと胸に迫ってくるものがあってちょっと泣きそうになってしまいます。

 少しネタバレになってしまいますが、6人が望むそれぞれの人生の物語を語ってエンディングを迎えようという内容のラストナンバーの「Six」の歌詞が私は特に好きで。上で紹介した動画は歌詞付きなのでぜひ見てみて欲しいのですが、「history」(歴史)を「his story」(彼の[男性の]物語)に掛けた歌詞が凄く上手いなぁ、と。「ガールズのためのガールズによるガールズの」な趣きのある『Six』ですが、劇場で食い入るように舞台を見つめて、ハイテンションで座席の上を飛び跳ねてる観客には男の子も結構いたのも凄くいいなぁと思ったりしました。

 先日、『Six』のUKツアー日程が発表されましたが、今後のInternational Productionを予定している国の名前には日本と韓国も!ツアーキャストの来訪公演なのか、現地キャストによる翻訳公演なのか、詳細はまだまだ不明ですが今からとても楽しみです!


  1. Sixのキャストのみなさんはオルタネートキャストの3人を含めて9人いらっしゃいますが、オルターの俳優さん含めて全員別の衣装、キャラ設定もどうも異なる模様。