2017年2月末の渡韓の締めくくりは韓国の二人ミュージカル『ラフマニノフ』(라흐마니노프, Rachmaninoff) を観劇してきました。私が観た回のキャストは、
Rachmaninoff (ラフマニノフ) : アン・ジェヨン さん
Nicolai Dahl (ニコライ・ダール) : チョン・ドンファ さん
でした。
ジェヨンさんは2016年のN2N以来、ドンファさんは今回がお初。初めて観るジェヨンさんの主演作品、しかも泣く演技が大評判、そして多数の大学路ミュージカルに出演している人気ミュージカル俳優のドンファさんが観れるということでかなり楽しみにしていた観劇でした。
インターパークに掲載されてる『ラフマニノフ』のあらすじをざっくり意訳するとこんな感じです。
優れたピアノの実力と作曲によって
ロシア音楽界の期待を一身に集めていた若い音楽家ラフマニノフ
彼は若くして自身の交響曲第1番を発表する
しかし、演奏会は失敗に終わり
その後ラフマニノフは人々の目を避けて隠遁生活を送る一方、フランス留学の最中に帰国した精神医学者ダール博士は
「弟の治療をお願いしたい」という手紙を受け取るが、
その対象はまさにラフマニノフ!
ダール博士はラフマニノフの心理を覗き
彼を苦しめるトラウマを探ろうとするが・・・
観劇のタイミングってやっぱり凄く大事ですね。もうまさに当時の私が一番求めてるものを観せてくれた作品でした。偉大な作曲家ラフマニノフの音楽に感動し、激しく揺れ動くジェヨンさんラフマニノフの感情とともに泣き笑い、お茶目で懐の深いドンファさんダール先生に癒されてやっぱり笑って泣く90分間でした。観劇直後は涙と鼻水で顔がそれはヒドイことになっていました。
不器用で優しくて一生懸命なジェヨンさんのラフマニノフが愛おしい
— satoko (@_simpleandclean) 2017年2月26日
ダール先生に励まされたい
— satoko (@_simpleandclean) 2017年2月26日
ジェヨンさんもドンファさんもピアノもオケも素敵だった。私が今求めてたのはこういう作品だった。何より偉大な音楽家達の音楽に心揺さぶられた
— satoko (@_simpleandclean) 2017年2月26日
なんかもう観劇直後にツイートしてる上記3つのツイートに全てが集約されますね。
(以下、ネタバレありなのでご注意下さい。)
真面目で不器用、純粋で何事にも全力投球なジェヨンさんラフマニノフの姿はただただ愛おしく、苦しみもがきながらも一生懸命に前に進もうと頑張る姿に心打たれます。ダール先生のセラピーを経て、病弱だったラフマニノフのお姉さんのエレナに対してラフマニノフが抱いていた罪悪感を吐露するシーンはまさにラフマニノフの魂の叫びを聞いているような熱演。ジェヨンさんラフマニノフは本当にすごい勢いで泣いて叫んで鼻水もすごいことになっていて。一日の公演が終わった後にジェヨンさんがパッタリ倒れてしまわないか心配になるくらいに熱のこもった演技で魅せてくれました。ラストでダール先生に手を振ってる姿まで一生懸命でかわいい。
お茶目でひょうきんなドンファさんのダール先生はとてもチャーミング。思い切りの良いビオラの演奏にズッコケそうになったり、一転、ズヴェーレフ先生を演じている時の厳格で怖い雰囲気にびっくりさせられたり、穏やかにような笑顔に蕩けそうになったり。モスクワ音楽院時代のラフマニノフとその恩師ズヴェーレフ先生の回想の、二人が心の底ではお互いを思いやってるのにすれ違って傷ついてる様子の演技は切なくて本当に凄く良かったです。そしてフィナーレに向かって気分が最高に盛り上がっている直後の
당신은 이미 사랑받는 음악가입니다.
貴方はすでに愛されている音楽家です당신이 새로운 곡을 쓰던 쓰지 않던 관객들은 당신을 사랑해 줄 것입니다.
貴方が新しい曲を書いても書かなくても
観客達は貴方を愛してくれるでしょう
の台詞はズルすぎます。あんな優しい笑顔で言われたら泣くしかないやんか〜。・゜・(ノД`)・゜・。
傷つきながらも一生懸命に頑張ってる人に対して救いの手が差し伸べられて、最後には評価されて報われるストーリー。当時私は日々に忙殺されて相当疲れを溜め込んでいたので、ジェヨンさんラフマニノフの心が癒され自信を取り戻していく姿に一緒に泣きながら、自分の心も涙で洗われていくのを感じました。これぞカタルシス。
またラフマニノフの曲をほとんどそのままベースにした楽曲が本当に素晴らしいんですよね。ジェヨンさんとドンファさんの演技も本当に素晴らしいし、小編成のオケのみなさまの演奏も素晴らしい。自身が稀代のピアノ演奏家だったラフマニノフはこのミュージカルでも多分に使われている「ピアノ協奏曲第2番」、「ピアノ協奏曲第3番」などのピアノ協奏曲の作品が特に人気ですが、当然ながらそんなミュージカル作品の指揮振りをされるピアニストの方の演奏も素晴らしく。台詞の大部分がチンプンカンプンでも、偉大な作曲家の遺した音楽の力と俳優様達の表情の演技だけでも十二分に楽しめる作品でした。だからこそあのカーテンコールの構成はすごくニクい。カーテンコールで再び涙腺崩壊。
裏キャストのパク・ユドクさんのラフマニノフとキム・ギョンスさんのダール先生の回もできれば観たかった!公演期間が終了してもOSTを何度も聞き返しては思い出に浸っていました。今後再演が決定されたら是非ともまた観に行きたいし、オススメしたい素敵な作品です。