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劇場に行くためにどこでもドアが欲しいミュージカルオタクの観劇記録と観るためのあれこれ

【観劇レポ】ミュージカル『ビリー・エリオット』(Billy Elliot) @ Akasaka ACT Theatre, Tokyo《2020.9.13マチネ》

【観劇レポ】ミュージカル『ビリー・エリオット』(Billy Elliot) @ Akasaka ACT Theatre, Tokyo《2020.9.13マチネ》

 興奮覚めやまず、半分意識が朦朧とした状態で帰路についたマイ初日の翌日もミュージカルビリー・エリオット』(Billy Elliot) を観るために赤坂ACTシアターへ。この日のマチネは川口調くんのビリーの初日でした。トールボーイの高橋琉晟くん以外のキッズは全員入れ替わり、大人キャストとしてはお父さん、おばあちゃん、トニーが前日と入れ替わり。私にとっては2回目の再演ビリーのキャストは以下の方々でした。

 ビリー:川口調さん
 お父さん橋本さとしさん
 ウィルキンソン先生:柚希礼音さん
 おばあちゃん阿知波悟美さん
 トニー中井智彦さん
 ジョージ:星智也さん
 オールダー・ビリー:大貫勇輔さん
 マイケル:菊田歩夢さん
 デビー:森田瑞姫さん
 トールボーイ:高橋琉晟さん
 スモールボーイ:豊本燦汰さん
 バレエガールズ
  下司ゆなさん1、咲名美佑さん2、新里藍那さん3、増田心春さん4、柳きよらさん5
 お母さん:家塚敦子さん
 ブレイスウェイトさん森山大輔さん
 デイヴィ:辰巳智秋さん
 アンサンブル6
  加賀谷真聡さん、茶谷健太さん、倉澤雅美さん、
  板垣辰治さん、大竹尚さん、大塚たかしさん、斎藤桐人さん、佐々木誠さん、
  高橋卓士さん、照井裕隆さん、丸山泰右さん、小島亜莉沙さん、竹内晶美さん、
  藤咲みどりさん、井坂泉月さん、井上花菜さん、出口稚子さん

2020.9.13 マチネのキャストボード 2020.9.13 マチネのキャストボード
 

 中村海琉くんがビリー役、大人キャストが初演から出演しているみなさんの組み合わせで観た私の2020年再演ビリー初日の観劇レポはこちら。簡単な作品紹介もこちらの記事で書いています。

感想

 前日に観劇していたときにも思っていたことですが、二日連続で観て確信に変わりました。今年のビリーたち、めっちゃくちゃ仕上がりが早い!初日からこれほどの舞台を見せてくれるのなら、千秋楽あたりにはどうなってしまうんだろうと胸いっぱいに広がる期待感。観終わった直後だというのに「早く次が観たい!」とどんどん膨らむ欲求。初演のとき、私が後から次々とチケットを追加したのは初めて観たビリー一ヶ月後に驚くべき進化を遂げていたのを見届けた後なのですが、再演ビリーでは最初からその状態になっている感じです。

(以下、ネタバレが含まれるためご注意ください。)

 調くんのビリーにはその演技力にぐいぐいと惹きつけられました。なんと言えばいいのでしょうか。調くんのビリーは言動のひとつひとつがしっかりと一本の太い線で繋がっている感じがするのです。目力が強く、明るくて負けん気が強くて生意気盛りの調ビリーから溢れてくる「手の掛かるかわいい息子」感。橋本さとしさんのジャッキー父ちゃんの役作りが同じく勝気で「男らしく」あろうと肩をいからせて強がっている感じなので、炭鉱ストの抗議活動に熱を入れる血気盛んな中井さんのトニーの三人が家族であるということにすごく納得するのです。

 バレエをしていることを父ちゃんやトニーに隠したいと思う気持ちも、おばあちゃんの前だけでは少し甘えと本音を見せる姿に対しても説得力が半端なかった調くんのビリー。一度禁止されたバレエを続けていたことがバレてしまい、オーディションへの道が閉ざされたビリーが「Angry Dance」(怒りのダンス)の冒頭で叫ぶ

踊れ、ろくでなし!

の叫び声のなんと気迫のこもっていること!さすがトニーの弟です。続く激しいタップダンスから感じる怒りのパワーには圧倒されまくりで、私がこの回の一幕で一番泣いたのはこの場面かもしれません。ままならない現実に対して行き場のない怒りをぶつけるビリー。小さな体から溢れんばかりの力をもてあまし気味な調ビリーなので、デビーにバカにされて対抗心を燃やしているうちにバレエにのめり込んでいったり、ウィルキンソン先生に口を閉じておくように言われたりしたり、レッスンでブレスウェイトさんの頭をはたく腕の動きがめちゃくちゃ思いっきりが良かったり、ハイソな同年代のトーマスくんを殴ってしまったり、細々とした色んなことに物凄く説得力を感じるのです。あまりにも調ビリーの負けず嫌いっぷりが板についていたので、それが彼自身の持ち味なのだと思っていたらプログラムには負けず嫌いなビリーが羨ましいとの言葉があり驚愕しました。末恐ろしい演技の才能だと思います。

 そんなワンパク小僧の調ビリーの父親を演じる橋本さんですが、益岡さんの父ちゃんが厳しくしていても溢れる愛情が滲み出てきてくるタイプだとすれば、橋本さんの父ちゃんは不器用ながらもふとした瞬間に息子たちへの愛情がしっかり感じられるジャッキー。キャスティングが発表されたときから期待はしていましたが、橋本さんの父ちゃんもかなり好きです。普段強がっているジャッキーが炭鉱仲間たちとのクリスマスパーティで酔った勢いで亡き妻を想ってふと見せる弱さ。そんな姿が妙に色っぽい橋本さんの父ちゃんに思わずドキッとしてしまったのはきっと私だけではないはず。阿知波さんのおばあちゃんが、昔はさぞかし艶やかないい女だったんだろうなぁと感じるエドナさんだったのでこの二人の組み合わせにもとても親子を感じました。調ビリーが母ちゃんの前だけで見せる幼い姿にも然り。話は急に変わりますが、「The Letter」(手紙)の場面でウィルキンソン先生の

とても特別な女性だったのね

という言葉に対して調ビリーが返す

ううん、ただの、俺の母ちゃん

 の部分、笑顔といい気負いのない言葉に溢れる愛情といい、調ビリー最高すぎませんか?これから回数を重ねていく度にエリオット家の愛情もさらに深まっていくんだろうなぁと楽しみにしています。

 まだまだこれからお初のキャストの方々も多い今期の『ビリー・エリオット』。彼らに会うのもとても楽しみですし、あっという間に驚くべき成長曲線で進化を遂げるビリーたちにまた会うのも本当にとても楽しみです。

2020.9.13 マチネ カーテンコール写真

2020.9.13 マチネ カーテンコール写真 2020.9.13 マチネ カーテンコール写真 2020.9.13 マチネ カーテンコール写真 2020.9.13 マチネ カーテンコール写真

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