毎日ミュージカル『ビリー・エリオット』(Billy Elliot) を観るために赤坂炭鉱、もとい赤坂ACTシアターへ通った9月の四連休。当初の予定では四連休最終日は観劇予定は入れていませんでした。プレイガイドのサイトを眺めていたらふと見つけた良席。チケットサイトを開いている時点で結果は見えているようなものですが、悩んでいたのは多分10秒ぐらいでした。そんな連休最後のビリー観劇回のキャストのみなさまは以下の方々でした。
ビリー：利田太一さん
お父さん：益岡徹さん
ウィルキンソン先生：柚希礼音さん
おばあちゃん：根岸季衣さん
トニー：中河内雅貴さん
ジョージ：星智也さん
オールダー・ビリー：永野亮比己さん
マイケル：日暮誠志朗さん
デビー：森田恵さん
トールボーイ：石井瑠音さん
スモールボーイ：西山遥都さん
バレエガールズ：
下司ゆなさん1、咲名美佑さん2、新里藍那さん3、増田心春さん4、柳きよらさん5
お母さん：家塚敦子さん
ブレイスウェイトさん：森山大輔さん
デイヴィ：辰巳智秋さん
アンサンブル6：
加賀谷真聡さん、茶谷健太さん、倉澤雅美さん、
板垣辰治さん、大竹尚さん、大塚たかしさん、斎藤桐人さん、佐々木誠さん、
高橋卓士さん、照井裕隆さん、丸山泰右さん、小島亜莉沙さん、竹内晶美さん、
藤咲みどりさん、井坂泉月さん、井上花菜さん、出口稚子さん
2020.9.22 マチネのキャストボード今回がお初となったキャストの方は遥都くんのスモールボーイ。この回で再演ビリーの全キャストコンプで太一くんビリーは2回目です。
私の2020年再演ビリー初日の観劇レポはこちら。簡単な作品紹介もこちらの記事で書いています。他の観劇回、日本初演や韓国の観劇レポはカテゴリーの『ビリー・エリオット』から飛べるようになっています。
前回の太一くんビリー回の観劇レポはこちら。
（以下、ネタバレが含まれるためご注意ください。）
感想
「少年から青年に成長する一歩手前の危うい均衡の真っ只中にいる」。太一くんのビリーを初めて観た後に書いた感想ですが、初演や海外での観劇を合わせてみてもこれほど強く「彼のビリーを観れるのは今しかない」と感じたビリーはいないかもしれません。バレエダンサーとして武器になるであろう長い手足も、身長も、太陽と雨の恵みをたっぷり浴びた植物のようにグングンと伸びていきそうで、スポンジのように吸収する素直で若い感性は数日後にはまったく違う表情を見せてくれるような予感がして、目が離せないと思ってしまうのです。
年頃に見合ったやんちゃさを随所に感じる太一ビリー。そんな彼が時折見せる大人びた表情には心を鷲掴みにされます。「Angry Dance」（怒りのダンス）の最後で地面に倒れこむ前の絶叫。真剣な眼差しで踊ることに没頭する「Swan Lake Pas de Deux」（白鳥の湖 パ・ド・ドゥ）は息を飲むほど幻想的で美しくて、その場面で演じられているとおりに彼が近い将来に素晴らしいダンサーになることを予感せずにはいられません。そして身勝手な大人である私は太一くんの都合などお構いなしに願ってしまうのです。いつか、太一くんもオールダー・ビリーとしてこの作品に帰ってきてくれたらいいのに、と。
細かい部分にとても丁寧に演技をしていることを感じる太一くんビリー。そうでありながら彼のビリーは彼自身との境目がとても曖昧でシームレスに感じるビリーでもあります。そんな太一くんのまっすぐなビリーを見ていると、彼自身が感じたことを肯定して背中を押してくれる頼れる人たちの存在が見え隠れする。太一ビリーから溢れるように湧き出る「踊ることが大好き！」という明るいエネルギーとともに、彼のビリーを観た後はポカポカと温かく幸せな気分になれるのはそんな理由があるからかもしれません。
多幸感に包まれて劇場を後にした四連休。そんな連休を振り返ると頭の中にはビリーとマイケルの明るい声で「Expressing Yourself」（自分のこと表現しよう）の一節が鳴り響きます。
好きなこと やめられない
人のこと もう気にしない
底抜けに明るくて前向きで楽しいこの曲でウルッとしたり、泣けてきたりするのは私がこの作品にどれだけ夢中になっているかの一つのバロメーターな気がする今日この頃です。
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