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【観劇レポ】ミュージカル『ビリー・エリオット』(Billy Elliot) @ Akasaka ACT Theatre, Tokyo《2020.9.27》

ミュージカル『ビリー・エリオット』(Billy Elliot) @ Akasaka ACT Theatre, Tokyo《2020.9.27ソワレ》

 2020年のミュージカルビリー・エリオット』(Billy Elliot) の東京公演の千秋楽は10月17日。東京公演の最後までビリーファミリーを見届けたい気持ちはありながらも仕事の都合上、半月ほど早く私にとっての東京公演ラストは9月末になってしまいました。東京公演ラストは気合いを入れてマチソワ。そんな私にとっての東京公演ラスト2回のビリー観劇回のキャストのみなさまは以下の方々でした。

  1. 2020.9.27 マチネ
     ビリー:中村海琉さん
     お父さん益岡徹さん
     ウィルキンソン先生:柚希礼音さん
     おばあちゃん根岸季衣さん
     トニー中井智彦さん
     ジョージ:星智也さん
     オールダー・ビリー:永野亮比己さん
     マイケル:菊田歩夢さん
     デビー:森田恵さん
     トールボーイ:石井瑠音さん
     スモールボーイ:豊本燦汰さん
     バレエガールズ
      北村栞さん、佐藤凛奈さん、髙畠美野さん、並木月渚さん、古矢茉那さん
     お母さん:家塚敦子さん
     ブレイスウェイトさん森山大輔さん
     デイヴィ:辰巳智秋さん
     アンサンブル
      加賀谷真聡さん、茶谷健太さん、倉澤雅美さん、
      板垣辰治さん、大竹尚さん、大塚たかしさん、斎藤桐人さん、
      高橋卓士さん、照井裕隆さん、丸山泰右さん、小島亜莉沙さん、竹内晶美さん、
      藤咲みどりさん、井坂泉月さん、井上花菜さん、出口稚子さん
  2. 2020.9.27 ソワレ
     ビリー:利田太一さん
     お父さん橋本さとしさん
     ウィルキンソン先生安蘭けいさん
     おばあちゃん阿知波悟美さん
     トニー中河内雅貴さん
     ジョージ:星智也さん
     オールダー・ビリー:永野亮比己さん
     マイケル:佐野航太郎さん
     デビー:小林桜さん
     トールボーイ:高橋琉晟さん
     スモールボーイ:西山遥都さん
     バレエガールズ
      下司ゆなさん、咲名美佑さん、新里藍那さん、増田心春さん、柳きよらさん
     お母さん:家塚敦子さん
     ブレイスウェイトさん森山大輔さん
     デイヴィ:辰巳智秋さん
     アンサンブル
      加賀谷真聡さん、茶谷健太さん、倉澤雅美さん、
      板垣辰治さん、大竹尚さん、大塚たかしさん、斎藤桐人さん、佐々木誠さん、
      高橋卓士さん、照井裕隆さん、小島亜莉沙さん、竹内晶美さん、
      藤咲みどりさん、井上花菜さん、出口稚子さん
2020.9.27 マチネのキャストボード 2020.9.27 ソワレのキャストボード 
2020.9.27のキャストボード(左:マチネ、右:ソワレ)
 

 私の2020年再演ビリー初日の観劇レポはこちら。簡単な作品紹介もこちらの記事で書いています。他の観劇回、日本初演や韓国の観劇レポはカテゴリーの『ビリー・エリオット』から飛べるようになっています。

(以下、ネタバレが含まれるためご注意ください。)

感想

マチネ

 再演ビリー観劇初日以来の海琉くんビリー。久しぶりに再会した海琉くんのビリーを観て感じたのは、彼自身がどうビリーを演じるのかに対する決意のようなもの。これは私が勝手に思っていることですが、海琉くんはビリーを演じる上で「きれいに歌わないで」と言われたことに不満を持っていたんじゃないのかと思うのです。初日と比べて伸びやかに感じた海琉ビリーの歌声。どう歌うかを含めて自分のビリーはこうなんだというのが彼なりに定まって、それを貫いていくんだという気概と頼もしさを感じたのでした。

 年の割に大人びた印象を受ける海琉ビリーですが、二幕ではその眼差しの強さに一層大人になろうとしていることを強く感じます。舞台を去っていくときに客席を鋭い目つきでギロッと睨みつける姿に鳥肌が立つくらい迫力のある海琉くんのビリー。気迫のこもった彼の「Angry Dance」を観ると、この瞬間がビリーが大人になる上での一つの大きな節目であることを感じるのです。

 観劇の回数を重ねていくと、だんだんと物語の中心人物以外のイージントンの街の人たちにも愛着が湧いてきて、それぞれの物語が気になってくるのが『ビリー・エリオット』。ウィルキンソン先生のバレエ教室に通う個性豊かな女の子たち。みんななんだかんだ言って先生のことが大好きで、その関心を買おうと一生懸命で小競り合いをしたり。特に私が好きなのは彼女たちが先生に褒められたときに見せる反応。中でもシャロンがアチチュード・プロムナードを先生に褒められた後のぱああと効果音が聞こえてきそうなうれしそうな表情は本当にかわいくて、毎回観てほんわかした気分になります。見ていて温かい気持ちになると言えば、スモールボーイとビッグデイヴィの組み合わせもそうです。二人が血縁関係にあるのか、ただ単にデイヴィがスモールボーイのお気に入りの優しいおじさんなのかは定かではありませんが、「The Stars Look Down」でデイヴィに体重を預けてもたれかかるようにデイヴィを見上げるスモールボーイの姿も「Once We Were Kings」でスモールボーイからロリポップをとても優しい表情で受け取って大切そうにポケットにしまうデイヴィの姿も私がビリーで大好きな要素の一つです。

ソワレ

 ソワレは日本の『ビリー・エリオット』150公演目。記念するべき公演を最高の席で観れた私の東京公演ラストは素晴らしい思い出になりました。

幕間にこんなツイートを残していた私。特にこの観劇回で印象に残ったのは「The Letter」での太一ビリーの演技でした。暗記してしまうくらい読み込んだ18歳のビリーに宛てた母ちゃんの手紙。「誇りに思っている」の部分で言葉に詰まってしまうところ。一瞬のうちにブワッと押し寄せてきた感情に堪えるかのようにギュッと固く目をつぶって震えていた太一くんのビリー。母親の幻影が現れてから、揺れる瞳で見せる縋るような表情と心の底からうれしさを感じているような表情。あんな姿を見せられた日には、息子を残して母ちゃんが未練を残して現世に留まってしまっていても仕方がないと思ってしまいます。

 でもやっぱり太一くんのビリーと言えば全身から発せられる踊ることが楽しくて大好きで仕方ないというオーラ。「Expressing Yourself」でも「Born to Boogie」でも心の底から踊ることを楽しんでいることがヒシヒシと伝わってくる姿は観ていて自然と笑顔にさせてくれます。この日の「Solidarity」のラストはショーストッパー状態。噛み締めるように大事に「Electricity」を歌って踊る姿。そしてフィニッシュの弾けんばかりの笑顔。公演後の挨拶で自分が楽しみことによってみんなも楽しくさせる舞台にしたいと言っていた太一くん。晴れやかに太陽のような笑顔を見せてくれる太一くんのビリーを観るたびに、「太一くんが楽しんでいること、全力で伝わっているよ!」と大声で叫んで伝えたくなるのです。

 マチネの感想では触れていませんでしたが、マチネ、ソワレとともにスウィングのキャストのみなさんが普段とは違う配役で出演していたこの日の公演。マチネでは加賀谷さんがスト破りをしているトールボーイのお父さん役。ソワレでは茶谷さんが「Angry Dance」のラストで警棒を振り回している警官役が印象的な丸山さんのトラックで、倉澤さんが普段は井坂さんが演じているとても上手にバレエを踊っているのになかなかそれを先生に見てみらえないティナ役を。キャストが変わるとまた雰囲気も変わるので、そんなところもとても新鮮だったこの日の観劇でした。

 オフマイクの台詞もしっかり聞き取れる良席で観劇できたこの回は、普段から印象に残る場面はもちろん、スポットライトから外れた細かい演技もとても心に残り。「He Could Go And Shine」でジャッキーとトニーの仲間たちがビリーがロンドンでオーディションを受けるための資金のカンパをする場面は何度観ても毎回泣いてしまう大好きな場面。この場面で先陣を切ってジャッキー父ちゃんの手にお金を握らせる炭鉱夫の妻の女性。彼女のその姿に憧れを抱いていることは初演の感想としても書きましたが、ジャッキーにお金を渡した後、何事もなかったかのように颯爽とその場を去っていく直前にビリーの目を見て「大丈夫」と言うように力強く頷く姿はやっぱりとてもかっこよくて。ついついビリーと父ちゃんばっかり目で追ってしまう「Once We Were Kings」で、中河内さんのトニーがビリーに餞別を送った後にライトが当たらなくなってから穏やかに微笑んで、その後切なげな溜息をついている姿に凄く胸が詰まったのもとても印象に残っています。

 150回記念公演ということでこの日は特別にカーテンコール撮影OK。そして通常のカーテコールの後は太一ビリーと中河内トニーが登場したのフォトタイム。せっかく良席に恵まれたのだからと、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる(?)ということで写真をいっぱい撮りまくってきました。

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 その日の公式ツイッターアカウントがアップしていた150回記念ボードと一緒に記念撮影する初演からのアンサンブル、スウィングキャストのみなさんの写真がとても素敵だったのでこちらもご紹介。

 150回が200回になって、500回になって1000回になって。ビリーを演じた少年たちがオールダー・ビリーとなっていつかこの舞台に帰ってくるその日まで。中河内さんの挨拶にもあった通り、いつかその日が来ることを信じて長生きしたいと心の底から思います。

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