Sparks inside of me

劇場に行くためにどこでもドアが欲しいミュージカルオタクの観劇記録と観るためのあれこれ

【観劇記録】2022年上期観劇まとめ(4月〜6月)

What I saw in Theatres 2022

 2022年第二四半期の観劇記録です。個別のレポを書いた作品はそちらへのリンクを、個別レポを書いていないものは簡単に感想も書いています。観劇後かなり時間が経って書いてるものが多いので色々とご容赦を。



April - 4月

ミュージカル『ネクスト・トゥ・ノーマル』(Next to Normal) @ Theatre Creation, Tokyo《2022.4.2マチネ》

最初で最後になったNチームの観劇。まだまだ観たかった…!

ミュージカル『ワイルド・グレイ』(와일드 그레이) NAVER後援ライブ配信《2022.4.4》

ミュージカル『ワイルド・グレイ』

 オスカー・ワイルド:ジョンミンさん
 ルフレッド・ダグラス:パク・チュニさん
 ロバート・ロス:アン・ジファンさん

 何となく取ってみたライブ配信チケット。『サロメ』や『ドリアン・グレイの肖像』などの著作で知られるオスカー・ワイルドとその創作活動に影響を与えたアルフレッド・ダグラスとロバート・ロスの三つ巴愛憎劇。とにかくダグラスが超めんどくさい子でよくワイルドはこれに付き合えるなぁと思ったのと、なんで精神的に支えてくれるロスじゃ無いんだよと思った記憶。この手のお耽美な痴情のもつれ系の話の作品、好きな人は好きだと思うんですが私のストライクゾーンからは外れていました。(なぜ観た)しかし観るにあたって語学力不足と予習不足は否めず。せめて『ドリアン・グレイの肖像』のあらすじくらいは把握してから観るべきでした。

演劇『マーキュリー・ファー』(Mercury Fur) ピアライブ配信《2022.4.8》

 エリオット吉沢亮さん
 ダレン北村匠海さん
 スピンクス加治将樹さん
 ローラ宮崎秋人さん
 ナズ:小日向星一さん
 パーティプレゼント:山﨑光さん
 パーティゲスト水橋研二さん
 :大空ゆうひさん

 心に爪痕を残していくような作品は割と好きな方ですが、『マーキュリー・ファー』は私がこれまで観たことのある演劇作品の中でもトップクラスで辛い作品でした。作中で突きつけられる質問は、「貴方は自分の大切な人たちを守るためならどこまでできますか?」という究極の選択系のもの。恐怖と暴力が支配する極限状態においても人間としての尊厳を守るために人としての心をギリギリまで守ろうともがく彼らの姿がどうしようも無く辛く。どこまでも見下げた下衆がいる一方、一見悪人のようでも本当は心根が優しくて、環境がその人を悪人たらしめている場合もあるのだということを突きつけられました。配信を観終わった後にWikipediaで登場人物達の年齢設定を読んでさらに気分は落ち込み…。この辛さは『二十日鼠と人間』を観終わった後と似ていて、そしてこの作品はさらに舞台の時代設定が容赦ない。人気俳優さんが出演しているのでかなりのチケット争奪戦だったと思いますが、多分生で観ていたら気分の落ち込みようは地面にめり込むレベルだったと思うので配信での観劇で良かったのかもしれません。でも観て良かったと思う作品です。

ミュージカル『銀河鉄道999 THE MUSICAL』 @ Nippon Seinenkan Hall, Tokyo《2022.4.9ソワレ》

ミュージカル『銀河鉄道999 THE MUSICAL』

 鉄郎中川晃教さん
 メーテル花總まりさん
 機械伯爵佐藤流司さん
 クレア梅田彩佳さん
 車掌徳永ゆうきさん
 トチロー藤岡正明さん
 リューズ矢沢洋子さん
 プロメシューム松本梨香さん
 クイーン・エスメルダス:北翔海莉さん
 キャプテン・ハーロック三浦涼介さん

 ふと前日に思い立ってチケットをポチって観に行った作品です。実はこれまでも何回か音楽劇として『銀河鉄道999』の舞台が上演されていますが、ミュージカルと銘打って舞台化されたのは今回が初めての模様。ですが個人的には『銀河鉄道999 THE MUSICAL』を観終わった後の感触はミュージカルを観たというよりは歌付きのテーマパークアトラクションショーを観たという気持ちの方が近いです。劇中のミュージカルナンバーはほとんど登場人物のキャラクターソングで、曲中に物語の時間軸や空間軸がほとんど動かないからそのように思うのかなぁ、と。長編二次元作品の舞台化の宿命だと思いますが、若干詰め込みすぎ感があるのは否めず。キャストの歌唱力は申し分ない歌ウマさん揃いで、個人的には初めましてだったクイーン・エスメルダス役の北翔海莉さんがかっこよくて素敵でした。メーテル役を演じるはずだった神田沙也加さんに想いを馳せずにいられませんでしたが、お花様のメーテルはまじメーテル。原作をざっくりとしか理解していなかったので思いの外複雑な登場人物達の関係性にびっくりしたりもしました。

ミュージカル『メリー・ポピンズ』(Mary Poppins) @ Tokyu Theatre Orb, Tokyo《2022.4.10ソワレ》

 笹本メリーと大貫バートで観劇。『マーキュリー・ファー』で辛くて苦しい近未来のロンドンから空飛ぶナニーが活躍する古き良き日のロンドンへ。映画は私のミュージカル好きの原点となった作品です。

ミュージカル『ネクスト・トゥ・ノーマル』(Next to Normal) @ Theatre Creation, Tokyo《2022.4.16ソワレ》

 運に恵まれて最前列でAチームの東京千秋楽を堪能しました。今年のチケット運はすでに使い果たしたと思うけど悔いはなし。

ミュージカル『ゴーン・トゥモロー』(곤투모로우, Gone Tomorrow) NAVER後援ライブ配信《2022.4.18》

ミュージカル『ゴーン・トゥモロー』(곤투모로우, Gone Tomorrow) NAVER後援ライブ配信

 キム・オッキュン:カン・ピルソクさん
 ハン・ジョンフン:キム・ジェボムさん
 高宗:パク・ヨンスさん
 イ・ワン:シン・ジェヒさん
 チョン・ユン:ハン・ドンフンさん

 以前無料配信があったときに流し観していましたが、今回昔悩みつつも観れずに見送った初演キャストが揃った回が有料配信されるということでチケットをポチ。ツイッターでフォロイーさんのどなたかが「『Gone Tomorrow』はファンタジー史劇」とつぶやいていたのですが、なるほどそ確かに。きっと内容の半分もちゃんと理解できていないのですが、そこだけはなんとなくわかった気がします。日本のお祭り(?)の場面の変なハッピとか着物とか色々と突っ込みたくなるんですが、韓服も洋装も結構不思議で謎な感じなのでまぁいっか、となるファンタジー加減。ピルソクさんのオッキュン先生は傾国の美人で、ヨンスさんの高宗は美しい駄々っ子で、日本側の人なのか大陸側の人なのかいまいち立ち位置がよくわからなかったイ・ワン総理は黒服の手下を率いていることも含め、ゾーザー様1とその軍団にしか見えず。ジェボムさんのジョンウの最期は、踊りの振りも切ないけど銃に打たれる演技の身体表現もすごかったです。音楽はとてもよかった。

ミュージカル『メリー・ポピンズ』(Mary Poppins) @ Tokyu Theatre Orb, Tokyo《2022.4.23ソワレ》

 濱田メリーと小野田バートで観劇。メリーが昔バートのナニーをしたことがあるという設定がとてもしっくりくる組み合わせでした。

ミュージカル『ネクスト・トゥ・ノーマル』(Next to Normal) @ Hyogo Performing Arts Center, Nishinomiya《2022.4.24ソワレ》

兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール

 ダイアナ安蘭けいさん
 ゲイブ:海宝直人さん
 ダン:岡田浩暉さん
 ナタリー昆夏美さん
 ヘンリー:橋本良亮さん
 ドクター・マッデン新納慎也さん

 ミュオタ友達に「遠征しない?」と誘われホイホイされて、ソワレだけの弾丸遠征で兵庫公演のAチーム千秋楽を観てきました。兵庫県立芸術センターの阪急中ホールは初めてでしたが、とてもコンパクトで観やすくて良かった!前方列での観劇が続いて初日以来久しぶりに引きでの観劇だったため、観劇4回目にして初めて一幕ラストでナタリーがいることに気づいて切なくなったり。Aチームは3回観れたけどまだ観たいし、Nチームが1回しか観れなかったことには未練タラタラ。名古屋も行きたかった...。

演劇『広島ジャンゴ2022』 @ Theatre Cocoon, Tokyo《2022.4.29ソワレ》

演劇『広島ジャンゴ2022』

 山本/ジャンゴ天海祐希さん
 木村/ディカプリオ鈴木亮平さん
 橘の義弟/クリス野村周平さん
 沢田(妻)/マリア中村ゆりさん
 みどり:土居志央梨さん
 ケイ:芋生悠さん
 エリカ北香那さん
 ドリー宮下今日子さん
 橘の妻/パメラ池津祥子さん
 沢田(夫)/チャーリー藤井隆さん
 橘(工場長)/ティム(町長)仲村トオルさん

 GW観劇第一弾は年始に観たモダンスイマーズの『だからビリーは東京で』がとても良かったのでモダンスイマーズ以外の蓬莱さんの作品が観てみたくなってとってみたチケット。現代の広島の牡蠣工場で働く主人公が西部劇の世界のヒロシマに馬として異世界転生(?)する話というあらすじから、完全にコメディだと思い込んでチケットを取ったのですが、笑える瞬間はあるもののコメディとはとても言いがたくびっくりしました。正直観劇直後はどのように自分の中で消化すればいいのか混乱した不思議な作品でした。鈴木亮平さんが演じるディカプリオもとい木村さんはまさにいい奴で、仲村トオルさん演じる工場長/ティムはナイスルッキングなクズで。天海さんは山本さんとジャンゴ(アンナ)のキャラクターにかなりギャップがあったのが意外でした。子連れガンマンなジャンゴのときの天海さんはとてもかっこよく、牡蠣工場の新入りパートの山本さんは声が小さいけどしっかりと主張する陰キャラなんですが、人との交流を避けがちなのは共通しているのでジャンゴな天海さんは山本さんの内なる強さを表しているのかなぁ、と思ったり。結構辛い感じの場面だったりしんみりする場面も多いので、鈴木亮平さんがディカプリオという名前の馬なのがこの作品を観る上での救いで、身体張ってみんなに癒しを提供する木村はいい奴だな、という結論になるのでした。

 

5月 - May

ミュージカル『EDGES 2022』@ Yurakucho Yomiuri Hall, Tokyo《2022.5.1マチネ》

ミュージカル『EDGES 2022』

 屋良朝幸さん
 成河さん
 草間リチャード敬太さん
 豊原恵江理佳さん
 ダンドイ舞莉花さん
 植木豪さん

 GW観劇第二弾は映画『LA LA LAND』やミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』の音楽と歌詞を手掛けたパセック&ポールの初期作でもあるミュージカル『EDGES 2022』を。ソングサイクル形式のミュージカルは初めてでしたがとても良かったです。弾ける才能とパッションを感じるカンパニーで、演出とか訳詞とか誰が手掛けたんだろうと気になりすぎて珍しくプログラムも買ったりしました。結構色んなバックグラウンドのキャストが揃っていたのである意味異種格闘技のような趣もあって面白かったです。上手く表現できないですが、『RENT』や『Songs for a New World』や『Ordinary Days』が生まれた国で作られたミュージカルだなぁと言うのをしみじみ感じたり。しかしミュージカル出演はミュージカル界に「横槍を入れてる」とのたまう成河さんがあんなに歌って踊れるのなんなんでしょう…。キャスト全員がすごくパワフルで身体能力高く、見応えありました。

ミュージカル『メリー・ポピンズ』(Mary Poppins) @ Tokyu Theatre Orb, Tokyo《2022.5.3ソワレ, 2022.5.5ソワレ》

 笹本メリーと小野田バートの新キャストペア、濱田メリーと大貫バートの私の日本版メリポピ原点ペアで観劇。何回観ても溢れる多幸感に涙。

BHSミュージカル研究所『これ1冊!ミュージカル音楽史 Cpt.1 通史概説(1900-2022)』 @ Tiara Koto, Tokyo《2022.5.6》

BHSミュージカル研究所『これ1冊!ミュージカル音楽史  Cpt.1 通史概説(1900-2022)

 作曲家の大部さん、バリトン歌手の谷本さん、ソプラノ歌手の向笠さんのお三方が講師を務めるBHSミュージカル研究所の「聴くミュージカル音楽史の教科書」の第一弾。今回はシリーズの1回目ということでミュージカルの誕生から現代作品までの通史解説でとても盛り沢山な内容。大学の講義もこんな感じだったら熱心に聞いたのに。(←)大部さんが時折早口で推しを語るオタクになったり、「美しい」と連呼する語彙力を失ったオタクになるのもツボ。突き詰めたオタクの話はやっぱりめちゃくちゃ面白い!西洋音楽史と照らし合わせてミュージカルの歴史を分析すると、歴史って繰り返すのだなぁとしみじみと。各作曲家がきらきら星をアレンジしたらどうなるかを想定して作られたオリジナル楽曲の「きらきら星変奏曲」もらしさ満載で超納得。極めたオタクな大部さん、ノリがよく器用で即興が素晴らしい谷本さん、自由な男性陣2人を抜群の包容力で見守り向笠さん、と3人の講師の役割分担も絶妙でした。絶対こういうの好きな人いっぱいいると思うので、もっと色んな人に聞いてもらいたい講義シリーズです。

演劇『エレファント・ソング』(Elephant Song) @ Parco Theater, Tokyo《2022.5.7ソワレ》

演劇『エレファント・ソング』(Elephant Song)

 マイケル井之脇海さん
 ドクター・グリーンバーグ寺脇康文さん
 ミス・ピーターソン:ほりすみこさん

 2022年のGW観劇ラストはパルコ劇場で演劇『エレファント・ソング』を。グザヴィエ・ドラン主演・監督の映画も見てるし、韓国でも観劇していてストーリーはわかっているのですが、それでもラストは切なく。みなさま初めましての俳優さんたちでしたが、子役から演劇キャリアをスタートさせたというマイケル役の井之脇海さんがとても良かったです。参考までに韓国版を観劇した時の観劇レポも貼っておきます。

ミュージカル『THE PARLOR』ぴあライブ配信《2022.5.8》

 円山朱里:美弥るりかさん
 草笛灯/円山千里花乃まりあさん
 小澤巧:植原卓也さん
 ザザ(名座龍之介):舘形比呂一さん
 アリス(有栖川祥子):北川理恵さん
 草笛遊史:坂元健児さん
 円山阿弥莉剣幸さん

 期限ギリギリに駆け込みで観た日本発の新作ミュージカル『THE PARLOR』の配信。配信で見ていたこともあると思いますが、一幕モノのミュージカルで2時間半超は正直とても辛く、途中で完全に集中力が切れてしまいました。題材は面白いんですが、欲張って色々盛り込みすぎなのかもしれないなとも思ったり。個人的にはダレちゃうので一幕モノにするなら後30分は削って欲しいところです。

ナショナル・シアター・ライブ『ブック・オブ・ダスト〜美しき野生〜』(The Book of Dust - La Belle Savage) スペシャトークショー付き上映会 @ Toho Cinemas Nipponbashi, Tokyo《2022.5.14》

ナショナル・シアター・ライブ『ブック・オブ・ダスト〜美しき野生〜』(The Book of Dust - La Belle Savage)

 ナショナル・シアター・ライブはシネ・リーブル池袋で観劇することが最近増えていましたが、特別トークショー付き上映があるということで久しぶりにTOHOシネマズ日本橋で観てきました。今回観た『ライラの冒険』の前日譚に当たる『ブック・オブ・ダスト〜美しき野生〜』ですが、パペット使いや映像の演出も面白く、ぜひ生で観たかったなぁという感想。前方列で霧の飛沫とか浴びてみたいです。結構マニアックな質問も多く、トークショーもとても興味深かったです。


 

 ボナ:パク・ギュウォンさん
 ウビン:キム・ギョンスさん

 ロックな韓国大学路の二人ミュージカルということで興味はありつつもこれまで観劇する機会がなかったミュージカル『Trace U』。推し俳優さんの一人であるキム・ギョンスさんが出演するということで有料配信チケットをポチってみましたが…結局ストーリーはよくわからず、ギョンスさんの色気とギュウォンさんのあざとい可愛さとロック音楽を堪能しただけだったことを懺悔いたします。大学路ミュージカルあるあるで、回によって結末が変わるとか。しかしギョンスさんのマイクの持ち方いちいちセクシー過ぎじゃないですか?ギュウォンさんのあざと可愛さ、とてもアラフォーに見えないんですが…。これ以上書いても自分の残念さを垂れ流すだけなのでこれでやめておきます。(←)

ミュージカル『四月は君の嘘』(Your Lie In April) @ Nissay Theatre, Tokyo《2022.5.21ソワレ》

ミュージカル『四月は君の嘘』

 有馬公生小関裕太さん
 宮園かをり生田絵梨花さん
 澤部椿唯月ふうかさん
 渡亮太水田航生さん
 かをりの母:未来優希さん
 かをりの父原慎一郎さん
 井川絵見:元榮菜摘さん
 相座武士:ユーリック武蔵さん
 三池俊也:中村翼さん

 なるべく日本発の新作ミュージカル作品は観に行こうと思っている私。そんなわけでミュージカル『四月は君の嘘』も観てきました。日本の青春物語がミュージカルになるのってとても不思議な感覚でしたが、思ってた以上にミュージカルとの親和性は高い作品だったなという感想。原作のファンが多いのか、客層もいつもより若く、男性も多くてそれも新鮮でした。すっかり日本の大劇場系2.5次元ミュージカルの作曲担当になっているフランク・ワイルドホーン氏ですが、この作品を舞台化するのを推したのがワイルドホーン氏だったとプログラムを読んで知った時にはちょっと驚きました。高校生を主人公とする作品だけに、今後の日本のミュージカル界を引っ張っていくんだろうなぁと思えるキラキラと眩しい若い才能たちがいっぱいキャストにいたことにもホクホク。個人的に注目している中村翼くんと元榮菜摘さんをついつい目で追ってしまいましたが、二人はリーディングでは公生とかをりを演じていたんですね。二人の公生とかをりもいつか観てみたいです。しかし演出の上田一豪さん、N2Nといい、お盆がぐるんぐるん回る演出お好きですね。『四月は君の嘘』は『20年後のあなたに会いたくて』や『Play a Life』に通ずる、上田一豪さんらしいテーマを感じる作品だなぁとも思ったり。観劇後、カヌレがとても食べたくなりましたが近所のケーキ屋さんでは売っておらず残念無念。

ミュージカル『チャミ』(차미) NAVER公演ライブ配信《2022.5.30》

ミュージカル『チャミ』(차미) NAVER公演ライブ配信

 チャ・ミホ:ユ・ジュヘさん
 チャミ:イ・ボムソリさん
 キム・コデ:キ・セジュンさん
 オ・ジニョク:チャ・ソウォンさん

 2021年に剛力彩芽さんとDream Amiさんのダブル主演で上演された日本版は観たことがあったのですが、韓国版を観たのはこの無料配信が初めて。アンサンブルキャストさんなしで4人だけで演じられることも含めて、日本版とは演出が結構違う部分があって面白かったです。韓国版のチャミはジニョク先輩よりイケメンでかっこいい気がするのは私だけですか?作品のテーマ自体は割と普遍的な内容ですが、SNSの「映え」を気にしたり、ラップバトルだったりと作中の仕掛け部分が現代の旬をふんだんに盛り込まれた本作。10年後ではどんな感じで捉えられるのかが気になりますが、それだけ韓国ミュージカル界のスピード感は早いんだろうなぁとも思ったり。先輩やコデとのラブよりもミホとチャミの関係に重点を置いた物語も好感が持て、とても現代の韓国作品らしいと思いました。

 

6月 - June

ミュージカル『ラフマニノフ』(라흐마니노프, Rachmaninoff) NAVER後援ライブ配信《2022.6.7》

ミュージカル『ラフマニノフ』(라흐마니노프, Rachmaninoff)

 ラフマニノフ:チョン・ウクジンさん
 ニコライ・ダーリ:ジョンミンさん

 韓国創作ミュージカルの中でも指折りの大好きな作品であるミュージカル『ラフマニノフ』。今年は2016年の初演からのキャストと新キャストが合流して公演が行われており、渡韓できず観れなくて悔し泣きしていた私にとってNAVER後援ライブでの有料配信は願ってもない朗報でした。キャストを変えて3回に渡って配信された『ラフマニノフ』の配信第一弾のキャストは二人とも2020年に新たにキャスティングされた新キャストのお二人。どんなラフマニノフとダーリ先生になるのかワクワクしていましたが、期待以上にとても素敵なペアでした。ウッチンことチョン・ウクジンさんのラフマニノフは少年のようで感受性豊かで表情豊かなラフマニノフで、「記憶の向こうに」の時にすごく苦しそうにしているのが印象的でした。苦悩が深いからこそ、ラストの屈託無い笑顔がとても眩しい!ジョンミンさんのダーリ先生はラストのカーテンコール部分でラフマニノフに握手を求められて手を差し出されたことに感極まって思わず泣いてしまった感じがとてもとても大好きで一回観終わった後にそこだけ何回もリピートして観てました。演技なのか素なのか、どっちかわからない絶妙なその加減がニクすぎる。

バレエ『不思議の国のアリス』(Alice in Wonderland) @ New National Theatre, Tokyo《2022.6.11ソワレ》

バレエ『不思議の国のアリス』

 アリス:小野絢子さん
 庭師のジャック/ハートのジャック:福岡雄大さん
 ルイス・キャロル/白ウサギ:中島瑞生さん
 アリスの母/ハートの女王木村優里さん
 アリスの父/ハートの王:貝川鐵夫さん
 手品師/マッドハッター:スティーヴン・マックレーさん
 ラジャ/イモ虫:宇賀大将さん

 映画館で英国ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマシーズンの作品として観たときからいつか生で是非観てみたいと思っていた本作。しかも、ロイヤル・バレエのオリジナルキャストの一人であるスティーヴン・マックレーさんが来日してゲスト出演するということでこの機会を逃す手はなく。マッドハッター役はマックレーさんのために作られた役といっても過言ではないと思うので、かなり観劇するのが楽しみにしていました。そういうわけでかなり期待値を上げての観劇だったのですが、その期待は裏切られることはなく。エンターテイメント性が高く、美術も凝っていてとても楽しい作品なので、私のようなバレエ初心者にはうってつけの作品なんだろうなぁと思います。かなりのチケット争奪戦だったのでB席での観劇だったのですが、思ってた以上に観やすいとても良いお席だったのにもホクホクとした気分になりました。ちなみにマッドハッターもキュートなアリスもセクシーないも虫も捨て難いですが、なんだかんだで私が一番好きなキャラクターはハートの女王様だったりします。いつかロンドンでも観てみたい作品です。

演劇『ひりひりとひとり』 @ Yomiuri Otemachi Hall, Tokyo《2022.6.18ソワレ》

演劇『ひりひりとひとり』

 工藤春男:鈴木勝吾さん
 ぴーちゃん:梅津瑞樹さん
 りぼん牧浦乙葵さん
 玉木賢:百名ヒロキさん
 伊達夏子:周本絵梨香さん
 西郷さん:塚本幸男さん
 鉱石ラジオの音楽家森大輔さん

 BumpyLensのトークショーでのパッション溢れるとても熱い語りが印象に残って、さち子さんワールドを体験してみたくて取ってみたチケット。石丸さち子さん作・演出の『ひりひりとひとり』は独特の世界観で音と音楽の作り方がとても素敵な舞台でした。歌が多いというわけではないですが、音楽劇でもあると言っても良いのかも。俳優さんたちは命を削っているような熱演で時には怪我しないかハラハラする運動量。2幕終盤のハルオのモノローグにさち子さんの演劇への熱い想いと愛を垣間見た気がした気がします。人がとても好きな人なんだろうなぁ、と。

ミュージカル『ラフマニノフ』(라흐마니노프, Rachmaninoff) NAVER後援ライブ配信《2022.6.21》

ミュージカル『ラフマニノフ』(라흐마니노프, Rachmaninoff)

 ラフマニノフ:キム・ヒョンジンさん
 ニコライ・ダーリ:キム・ギョンスさん

 6/7の配信に続いた『ラフマニノフ』の配信キャストは初演キャストの一人であるキム・ギョンスさんのダーリ先生と2020年からの新キャストであるキム・ヒョンジンさんのラフマニノフの新旧混合ペア。初演キャストの二人のラフマニノフを含めると合計4人のラフマニノフを観たことになりますが、改めてラフマニノフの気難しさと拗れ方の方向性がみんなちょっとずつ違ってて面白いなぁと思いました。ヒョンジンラフは病み度より拗らせ度の高いラフマニノフという印象で、スランプは精神的に参っているというよりは本人の気難しいパーソナリティによるものが大きい感じがしました。なので表現が難しいですが、スイッチが何処にあるのかよくわからないヒョンジンラフは治療に大分難儀しそうな気がします。彼のラフマニノフはヌナのくだりがとても良かったです。ギョンスさんのダーリ先生はラフマニノフがなぜ曲を書くのかを追求するときの当たりがちょっとまろやかになった分、序盤の絶妙にウザい感じが増していた気がしました(笑)ズヴェーレフ先生の時は相変わらず精神的な圧が超怖い!舌打ちされたり盛大なため息をつかれる度に震え上がっちゃいそうですが、そんな両先生のギャップも好きだったり。この役でグレイヘアになるのは初めてだと思いますが、とてもお似合いですね。

ミュージカル『シデレウス』 @ Jiyu Theatre, Tokyo《2022.6.25ソワレ》

ミュージカル『シデレウス』

 ガリレオ・ガリレイ石井一彰さん
 ケプラー小野塚勇人さん
 マリア石川由依さん

 私にとってはミュージカル『チャミ』に続き、自由劇場で観劇する韓国ミュージカルの日本版。チャミでオ・ジニョク先輩を演じていた石井さんがとても歌ウマさんだということを知ったのもチケットをゲットする動機の一つになりました。地動説を唱えたガリレオ・ガリレイと文通を通して学説を論じあったケプラーの交流を中心に物語は展開し、ガリレオの娘でシスターでもあるマリアが彼らの軌跡を紐解く形で場面は過去と現在を行き来します。当時は異端審問官に異端に問われる学説をガリレオケプラーが追求しながら友情を育んでいく感じとか、韓国の方が凄く好きそうと観て納得。韓国のファクション系ミュージカルは結構な部分が創作であることが多いので、どこまでがノンフィクションでどこからフィクションなのかがとても気になりました。セットの雰囲気もとても素敵。日本版の衣装は韓国版のシンプルな装いと打って変わって、キャストのみなさんがアフタートークで言及していた通り、宝塚のショーの衣装ばりのフリルやレース付きのひらひら系だったのは正直だいぶ気になりました(苦笑)キャストのみなさんは三人とも歌は申し分なしで、改めて石井さんの声はとても好みだなぁと思ったのでした。石井さん、ちょっと雰囲気がチュ・ミンジンさんに似ている気がするのは私だけですか?アフタートークも興味深かったです。

ナショナル・シアター・ライブ『リーマン・トリロジー』(The Lehman Trilogy) @ Cine Libre Ikebukuro, Tokyo《2022.6.26》

 トニー賞受賞記念の再上映。すでに複数回観ている作品ですが、7月で日本での上映権が切れてしまうということでおかわりしてきました。何度観ても良いものは良い。ランニングタイムを感じさせない名作!2年前に観劇した時の観劇レポの記事ですがリンクを貼っておきます。

ミュージカル『ラフマニノフ』(라흐마니노프, Rachmaninoff) NAVER後援ライブ配信《2022.6.28》

ミュージカル『ラフマニノフ』(라흐마니노프, Rachmaninoff)

 ラフマニノフ:パク・ユドクさん
 ニコライ・ダーリ:チョン・ドンファさん

 ミュージカル『ラフマニノフ』有料配信第三弾はユドクさんとドンファさんの初演キャストペア。この二人は韓国観光公社の太っ腹すぎる字幕付き無料配信で観ていたペアだったので、配信チケットを買うかどうかちょっとだけ迷っていたのですが、「買っておいてよかった!」思える温かい余韻をしみじみと感じられる良い回の配信でした。重ねた年月の深みを感じる安心安定のペアなので、なんか旧友に再会したようなうれしさを感じました。ユドクさんのラフマニノフ、こう言ってはなんですが、おじさんなのに迷子で心細さに震える子供のようでめっちゃ庇護欲を掻き立てられて異常にかわいい。そしてピアノもめっちゃ上手い。ドンファさんのダーリ先生は基本マイペースでウザい感じなのに、時折フッと切ない表情見せるのが反則。さらにズヴェーレフ先生が言ったであろう言葉を勝手に代弁しながら、握手のために手を差し出す仕草するのも反則。自分がマイペースな分、ラフマニノフに対しても辛抱強くて懐が深くて優しいところが大好きです。ビオラ上達しましたね?ダーリ先生の最後の台詞は三人三様で微妙にみんな違ったのですが、ドンファさんはオリジナルの脚本に忠実だったのも印象に残りました。どんな台詞なのかは下記の観劇レポをご参照ください。


2022年累計観劇回数:41回(32演目)


 

theatre-goer.hatenablog.com theatre-goer.hatenablog.com 1, 2分で書ける簡単な匿名アンケートを実施しています。よかったらご協力ください!  

  1. ゾーザーはディズニーミュージカル『アイーダ』のヒーローであるラダメス将軍の父親で作品におけるヒール役です。後でフォロイーさんに教えてもらったところによると、イ・ワン総理は歴史の不幸を導いた全ての〈悪〉を象徴する架空人物だそうです。