2018年の上期に観劇した作品についての個人的な記録を兼ねたまとめ記事その3、6月分です。個別のレポを書いた作品はそちらへのリンク、個別レポを書いていないものは簡単に感想も書いています。
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*West End/London
June - 6月
06/03 [P] Peter Pan*
GWの代休を取得して予定を組んだ今年初めての渡英旅行の観劇第一弾はすっかり大好きな劇場になったリージェンツ・パーク (Regent's Park) の屋外劇場、Open Air Theatre でJ.バリーの戯曲の『ピーター・パン』(Peter Pan)を観劇。ロンドンらしからぬ燦々と太陽が輝くいいお天気で、日差しを避けるために劇場の売店で売っていた麦わら帽子を購入してしっかりUV対策。同じピーター・パンつながりの戯曲版『ピーターと星の守護団』(Peter and the Starcatcher) を連想させる、演劇ならではの体や大道具、小道具を使った表現がすごく素敵な演出の舞台でした。こういうの大好き!『ピーター・パン』が書かれた時代背景を感じさせる、忍び寄る世界大戦の影を感じる部分も含めて本当に面白い演出でした。当初夜はグローブ座の『ハムレット』を観ようと思っていたので、マチネのチケットをとったのだけど、これは夜見たらまたきっと全然違う感じになるだろうから夜にも観たかったなぁ。06/03 [V] TRIOPERAS*
『Trioperas』は文字通り、プッチーニの『トゥーランドット』(Turandot)と『蝶々婦人』(Madame Butterfly)、ビゼーの『カルメン』(Carmen) という三つの有名なオペラ作品を元に構成されたトリプル・ビルなのですが、フライングあり、タップダンスあり、獅子舞世界チャンピオンによる獅子舞あり…と単純にオペラにも分類できない、本当にびっくりするくらい盛沢山な内容のショーでした。そして、この作品は海宝直人さんのウェスト・エンド デビュー作品!プログラムに記載されている海宝さんのプロフィールには、この作品が彼のWEデビューというだけではなく、初めての英語のみの公演であり1、初めてのオペラへの出演でもあり、"Triple Debut" だと書かれていて、その飽くなきチャレンジ精神がしみじみとかっこいいなぁと思ったのです。英語の発音もすごく綺麗だったし、歌声もとっても素敵。海宝さんは男性の歌い手のメインキャストで、『トゥーランドット』ではカラフ王子、『蝶々婦人』ではゴロー(『ミス・サイゴン』のエンジニアのような役回りの登場人物)、『カルメン』ではホセ役。ロマンチックな王子役も、胡散臭いエンジニア役(←)もよかったですが、恋情に狂い追い詰められていく心情の演技が印象に残った『カルメン』のホセ役が一番印象に残っています。闘牛を獅子舞で表現するのも面白かったし、個人的には全体としても『カルメン』が一番面白かった。06/04 [M] Young Frankenstein*
同名のメル・ブルックス (Mel Brooks) のホラー・コメディ映画をミュージカルにした作品。メル・ブルックスと言えば『プロデューサーズ』(Producers) が有名ですが、あんな感じのノリを想像してもらえるとだいたいのテイストがおわかりいただけるかと(笑)主人公のフレデリック・フランケンシュタインはかの有名なビクター・フランケンシュタイン博士の孫でアメリカ在住の脳科学者という設定。そんな博士を演じるのが、渡英ミュオタクラスタのみなさまにはおなじみ、『オペラ座の怪人』25周年記念公演のラウル子爵役を演じたハドリー・フレイザー (Hadley Fraser)さん。あんなに楽しそうに歌って踊るハドさんは初めて見たかもしれません。なるほど、あれが一部の方に有名なWEのゆるキャラ…。(←)しかしハドさんはやっぱり美声の歌ウマなので、「無駄にいい声」感が余計に色々笑いのスイッチをON。イゴール役のコリー・イングリッシュ (Cory English) さんも、怪物役のニック・グリーンシールズ (Nic Greenshields) さんも、あの見た目と声は色々と卑怯(笑)06/05 [P] MacBeth*
イギリス観劇旅行4日目の火曜マチネはNTLでおなじみのナショナル・シアターでロリー・キニア (Rory Kinnear) さんがタイトルロールを演じる『マクベス』(MacBeth)を観劇。劇団新感線の『メタルマクベス』のDVD、佐々木蔵之介さんのワンマン『マクベス』は観たことがあるものの、シェイクスピアの原典に忠実なスクリプトでかつ英語で『マクベス』を観るのは実は初めてでした。やっぱりキニアさんはすごく声がいい。そしてパッと見は普通のおじさんなのに(←)不思議なかっこよさと愛嬌があって素敵。マクベスと夫人の序盤から終盤にかける変化がすごく良かった。堂々として「おお、なんかかっこいいぞ!」という勇敢な戦士のマクベスから恐れから疑心暗鬼になり、弱さが目立ち、見ていてなんだか哀れに思ってしまうマクベス。夫人役のアンヌ=マリー・ダフ (Anne-Marie Duff) さんの登場時の強気で気性の激しい戦士の妻から夢遊病で彷徨うようになる姿の凄み。王冠の器ではないマクベス夫妻。三人の魔女の不気味な存在感とオリヴィエ劇場の奥行きをフルに活用したシンプルだけどおどろおどろしい雰囲気のセットやロックな衣装も印象に残りました。06/05 [B] Swan Lake*
06/06 [M] Dreamgirls*
1作品ぐらいは歌を浴びる感じのミュージカルを観たいなと思い、ドリンクのバウチャーつきのデイシートで昼からビールでほろ酔い気分になりながら観劇。三人のエフィーがキャスティングされていますが、私が観たときのエフィーはカーレン・マヴ (Karen Mav) さん。「And I'm Telling You」はやっぱり聞くと震える。『Dreamgirls』の映画が封切りされた後にミュージカルにも追加された新曲の「Listen」、映画で聞いた時も来日公演で聞いた時もそんなにピンと来なかったのだけど、今回改めて聞いてみてすごくいい曲だなぁとしみじみ思いました。エフィーとディーナが友情を取り戻して、自分の手で幸せを掴むことを約束する姿にグッときて、劇中で一番泣けた。個人的に演技が好きだったのはアスメレ・ゲブレマイケル (Asmeret Ghebremichael) さんのローレル。06/06 [M] Everyone’s Talking About Jamie*
将来の夢はドラァグ・クイーンな16歳の高校生男子ジェイミーを主人公にした実話をもとにした青春ミュージカル。もうとにかくひたすらジェイミー役のジョン・マククリー (John McCrea) さんがキラキラしていてかわいかった。先生のミス・ヘッジ役の女優さん、どこかで見たことのある顔だなーと思っていたらなんと『ミス・サイゴン』のエレン役のタムジン・キャロル (Tamsin Caroll) さん!髪の色も雰囲気もだいぶ変わっていたので一瞬気付かなかった。音楽もダンスもポップでキャッチーで、物語はベタといえばベタなんだけど明るく前向きなジェイミーに幸せな気分を貰えるキラキラしたハッピーミュージカルでした。06/07 [M] Les Misérables*
6月の渡英の目的の一つが毎年この時期に発表されるキャスト変更前にキリアン (Killian Donnelly) のバルジャンとデイヴィッド (David Thaxton) のジャベールを観ること。無事どちらにも逃げられずに観ることができました。去年に感じたキリアンのバルジャンのふとした瞬間に感じる人の善さはそのまま。そして初めて観るデイヴィッドのジャベールの皮肉屋のエリートっぽい雰囲気も大変好みのジャベールで大満足でした。そしてやっぱりいい声だ、このお二方…。声量の拮抗する美声二人の「対決」は迫力満点な耳福。もはやパブロフの犬のように涙が出てしまう象徴的なバリケードのシーンを観ながら、レミはやっぱりオリジナル演出が好きだなぁと思ったり。06/10 [B] Bernstein Centenary (ROH Cinema Season)
英国から帰国早々に観たROHシネマシーズンの『バーンスタイン・センテナリー』はバーンスタインの生誕100周年を記念したロイヤル・バレエと縁の深い新進気鋭の振付師三人によるトリプル・ビル作品。『白鳥の湖』ですっかり気になるダンサーになったサラ・ラム (Sarah Lamb) さんはウェイン・マクレガー振付の『幽玄』(Yugen) とリアム・ムーア振付の『不安の時代』(The Age of Anxiety)に、平野亮一さんはクリストファー・ウィールドン振付の『コリュバンテスの遊戯』(Corybantic Games) にご出演。コンテンポラリー作品は初めて観たけど、とても面白く、バーンスタインの音楽の多様性も楽しめてとても面白かった!06/14 [B] Bernstein Centenary (ROH Cinema Season)
どうしても『不安の時代』がもう一度観たくなっておかわり。二度目で物語のストーリーラインを事前に把握しているからか、気がついたらつーと泣いている自分がいたり。個人的にはストーリー性の高い『不安の時代』が一番好きだけど、『幽玄』のうねるような、体温を感じるような身体表現のダンスもすごく好きだなぁと思ったり。解説やバックストーリーを教えてくれるのはシネマシーズンならではの面白さ。06/19 [O] MacBeth (ROH Cinema Season)
ロンドンで戯曲版の『マクベス』を観たばっかりだったので、それがオペラになるとどんな雰囲気になるのかがとても気になって三回連続のROHシネマシーズン作品。オペラに全然詳しくない私でも名前を存じ上げているアンナ・ネトレプコ様がマクベス夫人役だったのですが、「これぞレディ・マクベス!」というイメージのど真ん中をいく素晴らしい迫力の熱演。歌声はもちろん、オーラと目力と演技に圧倒されました。オペラとしては人数がいた方が迫力があるんだろうけど、魔女はやっぱり三人の方がいいな、と思ったり。06/23 [M] 라흐마니노프 (ラフマニノフ)
06/23 [M] 노트르담 드 파리 (Notre Dame de Paris)
06/24 [M] 번지점프를 하다 (バンジージャンプする)
カン・ピルソクさんのイヌ、キム・ジヒョンさんのテヒ、チェ・ウヒョクさんのヒョンビンで観劇。実は初ウヒョクくん!あまり予習に時間が取れなくて、イヌとテヒの思い出のキーポイントだけを頭に入れただけの状態で観劇したので、お話についていけるか不安だったのですがすべて杞憂に終わりました。ものすごくよかったです。ソク様、ジヒョンさん、ウヒョクくん、三人とも演技がとても素晴らしく、ものすごく切ない物語に二幕はほとんど泣き続けていて、テヒ/ヒョンビンの「遅くなってごめんね」あたりでもう嗚咽をこらえるのに必死な状態に。印象的なワルツのメロディと、「それが私のすべてということを」(그게 나의 전부란 걸)が楽曲としてとても美しく。何度も何度もメロディが頭に流れてリフレインするような余韻が続く、哀しく切ない愛の物語でした。06/26 [B] Manon (ROH Cinema Season)
サラ・ラムさんのマノン、ワディム・ムンタギロフ (Vadim Muntagirov) さんのデ・グリュー、平野亮一さんのレスコーがそれぞれとても評判良くてとても楽しみにしていたロイヤル・バレエの『マノン』。やっぱり私はこういう物語性の強いドラマチックなバレエが好きみたいです。田舎から都会に出てきた初登場時からアメリカに流刑の身になってボロボロになってもずっと幼い清らかさが失われないサラさんのマノン、アクが強くて悪巧み顔が印象的な平野さんのレスコーに狂おしい愛を表現しながらもどこまでも優美で美しい踊りのワディムさん。特にサラさんとワディムさんの「沼地のパ・ド・ドゥ」は圧巻で、気づいたらぼろぼろ泣いていました。ギャリー・エイビス (Gary Avis) さんの脚フェチ変態貴族のGMもよかったなぁ。また観たいのでぜひぜひ円盤化して欲しい。06/30 [M] 노트르담 드 파리 (Notre Dame de Paris)
ヒョンリョルさんのカジモド、ユン・コンジュさんのエスメラルダ、マイケル・リーさんのグランゴワール、ミン・ヨンギさんのフロロー、イ・チュンジュさんのフェビュス、パク・ソングワンさんのクロパン、イ・ポムソリ(キム・ダヘ)さんのフルールで観劇。念願のマイコー様グランゴワール、やっぱりこういう浮世離れした感じの役、似合うなぁ。ヨンギさんのフロローは、きつめメイクをしていてもやっぱりどこか優しげなお顔なので「厳しいけど優しい司教補様、突然訪れた思春期にトチ狂う」という印象でした。お声はイケおじ、表情は少年。コンジュさんのエスメラルドは小悪魔度高め。ヒョンリョルさんのカジモドはやっぱり幼くて、可愛くて、不憫...(T_T)
2018年累計:50回(40演目)
「ねえ..........6月の観劇回数おかしない?」と思った貴方。大丈夫です、私もそう思っています。(←)