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劇場に行くためにどこでもドアが欲しいミュージカルオタクの観劇記録と観るためのあれこれ

【観劇レポ】ミュージカル『オリヴァー・ツイスト』@ Tokyo Metropolitan Theatre, Tokyo《2019.7.12ソワレ, 2019.7.14ソワレ》

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 2017年の夏と秋を捧げたミュージカル『ビリー・エリオット』の日本初演。そんなビリーでタイトルロールを務めた未来和樹さんと山城力さんがダブルキャストでまたしても主演を演じると聞き、ミュージカル『オリヴァー・ツイスト』(Oliver Twist) を観劇してきました。イギリスを代表する文豪チャールズ・ディケンズの同名の小説を元にしたミュージカルとしては1960年にロンドンで初演された『オリバー!』(Oliver!) が有名ですが、本作はアークインターナショナルさん主催の日本のクリエイティブ陣によって製作されたオリジナル・ミュージカル。今回の東京芸術劇場プレイハウスで行われた全6回の公演は本作の初演になります。ポスターにも顔写真が掲載されているプリンシパルキャストのみなさまは下記の通り。

 オリヴァー・ツイスト:未来和樹さん、山城力さん
 フェイギン:福井貴一さん
 ドジャー:神田恭兵さん
 ナンシー瑞季さん
 ビル・サイクス:川原一馬さん
 ブラウンロー伯爵姜暢雄さん

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【コラム】私の韓国ミュージカル推し9(+1)紹介《2019年上期版》

 韓国ミュージカルの推し9画像作成が私のツイッターのタイムラインで最初に流行ったのが2017年の9月。それから2年近く経ち、「だいぶみんなの推し事情も変わったよね」ということで推し9のアップデート版作成が少し前にプチ流行。ということでそのブームに若干遅れながらも私もアップデート版を作ってみました。

 はい、ここで想定問答集を書いてみましょう。

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【観劇レポ】演劇『報道指針』(보도지침, Report Guideline) @ TOM Theatre, Seoul《2019.4.28-2019.6.30》

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ここは法廷であり広場であり劇場です。
이곳은 법정이자 광장이자 극장입니다.

 劇中の台詞を引用した「女」役の女優さんの凜とした声のアナウンスを合図に開始される演劇『報道指針』(보도지침, Report Guideline)は1980年代に韓国で起きたとある事件を元にした法廷ドラマです。その題材からして難解なことが予想されていながらも、キャスティングされた実力派の俳優陣、報道の在り方と言論統制という今の日本に置き換えてみても色々と考えさせられる面白いテーマに惹かれて観劇したこの作品。言葉の壁にぶつかりながらも俳優さんたちの熱量の高い演技に胸が熱くなり、わけがわからないままに涙を流した初観劇。2回、3回と観劇回数を重ねていくうちに理解できる部分が増えていき、あれよあれよと言ううちに俳優さんたちの演技だけではなく、演劇と言葉の力を信じる心が伝わってくる脚本にどんどんと魅了されていきました。叶うならば日本でも観られたならと願わずにいれない舞台です。

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【観劇レポ】ミュージカル『ルドウィク : ベートーヴェン・ザ・ピアノ』(루드윅:베토벤 더 피아노, Ludwig: Beethoven the Piano) @ Dream Art Center, Seoul《2019.6.1ソワレ, 2019.6.29ソワレ》

 2018年の冬から年始にかけての初演が大好評に終わり、2019年の4月から早速の再演が行われた韓国創作ミュージカル『ルドウィク : ベートーヴェン・ザ・ピアノ』(루드윅:베토벤 더 피아노, Ludwig: Beethoven the Piano, 以下、『ルドウィク』)。ベートーヴェンの幼少期、青年期、壮年期を3人の俳優さんが演じ、さらにその3人の俳優さんは他の役も演じながら語られるベートーヴェンの人生の物語。『ルドウィク』は韓国ミュージカルでは一つの人気ジャンルとなっている史実とフィクションを織り交ぜてドラマチックに芸術家の人生を描くミュージカル作品です。再演の終盤にあたる6月頭に初めて観劇して感動し、どうしてももう1回観たくなって急遽千秋楽間際にもう一度滑り込みで観劇したこの作品。この2回の公演のキャストは下記のみなさまでした。

  1. [2019.6.1 ソワレ]
     ルドウィク:テイさん
     青年:チョ・ファンジさん
     マリー:キム・リョウォンさん
     バルト:チャ・ソンジェさん
     ピアニスト:カン・スヨンさん
  2. [2019.6.29 ソワレ]
     ルドウィク:イ・ジュグァンさん
     青年:チョ・ファンジさん
     マリー:キム・ジユさん
     バルト:チャ・ソンジェさん
     ピアニスト:カン・スヨンさん
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【コラム】ミュージカル『スモーク』(SMOKE):自分の中に眠る感情と向き合う作品

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 2018年の日本初演に引き続き翌年の再演が決まり、いよいよその再演が開幕した韓国創作ミュージカルの『スモーク』(SMOKE, 스모크)。6月の東京芸術劇場シアターウエストでの公演では石井一孝さんの《超》、藤岡正明さんの《海》、彩吹真央さんの《紅》という日本の大劇場ミュージカルに多数出演されている俳優さんたちがキャスティング。かなり短い公演期間ですが、運良く6月8日のソワレ公演を観に行くことができました。

 大好きな作品ではあるものの、数多くある韓国創作ミュージカルの中で「日本ではあまり知られていない李箱(イサン1)の作品と人生をモチーフにしたこの作品を何故?」と観るまで疑問に思っていたのは初演の観劇レポでも書いた通り。改めて一年後に再び『スモーク』の日本語公演を観て、いかにこの心配が杞憂だったのかを改めて思い知らされた気がしました。

 俳優さんたちの演技に対する感想というよりは『スモーク』という作品の解釈やこの作品が自分に訴えてくるところってなんだろうかということについて書いてみたくなったので、今回は観劇レポではなくてコラムとして思ったことを文字にしてみようと思います。


  1. 割と細かいこだわりですが、李箱のハングル表記「이상」は「理想」、「異常」と全く同じ読みで表記。なので、李箱をカタカナ表記するときは「イ・サン」ではなく「イサン」と表記したい派です。

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【観劇レポ】ミュージカル『スイート・チャリティー』(Sweet Charity) @ Donmar Warehouse, London《2019.5.2ソワレ》

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 ロンドンのお気に入りの小劇場の一つ、ドンマー・ウェアハウス (Donmar Warehouse) で上演されるというニュースが入ってきた時から「観たい!」と思っていたアンヌ=マリー・ダフ (Anne-Marie Duff) さん主演のミュージカル『スイート・チャリティ』(Sweet Charity) 。映画やテレビドラマにも多数出演している実力派女優さんが演じるチャリティがドンマーの狭い箱で観れて、2012年からドンマー・ウェアハウスの芸術監督を務めているジョージー・ルーク (Josie Rourke) さんが手掛ける最後の作品でもある本プロダクション。そんなわけで連日ソールドアウトが続いていて、半ば観るのを諦めかけていた『スイート・チャリティ』だったのですが、なんとロンドン滞在中にリターンチケットを拾うことができ、念願叶って観劇することができました。私が観劇した回の『スイート・チャリティ』の主要なキャストのみなさまは以下の通り。

 チャリティ: Anne-Marie Duffさん
 チャーリー/オスカー:Arthur Darvillさん
 ニッキー、他:Lizzy Connollyさん
 ヘレネ、他:Debbie Kurupさん
 ハーマン、他:Stephen Kennedyさん
 ヴィトリオ・ヴァイダル、他:Martin Marquezさん
 ダディ・ブルーベック1:Le Gateau Chocolatさん


  1. ダディ・ブルーベック (Daddy Brubeck) 役の俳優さんは日替わり

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【観劇レポ】ミュージカル『Six』@ Art Theatre, London《2019.5.3ソワレ》

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 2019年のGW渡英観劇旅行のラストはツイッターのフォロイーさんのツイートで気になっていた新作ミュージカルの『Six』を観てきました。『Six』はイングランド国教会の初代首長として歴史に名を残すチューダー朝イングランド王ヘンリー八世の6人の妻達をガールズポップグループに見立てて、リード歌手の座を巡って不幸自慢大会ライブをするというストーリー。

Divorced, Beheaded, Died
離婚、斬首、死亡
Divorced, Beheaded, Survived
離婚、斬首、生存

というインパクトのありすぎるオープニングからガッチリ心を掴まれてクイーン達のライブをめいいっぱい楽しんできました。私が観劇した日の6人のクイーンズは写真のキャスト表の通り以下のみなさま。

 キャサリン・オブ・アラゴン (Catherine of Aragon)
  Jarneia Richard-Noelさん
 アン・ブーリン (Anne Boleyn)
  Vicki Manserさん
 ジェーン・シーモア (Jane Seymour)
  Natalie Parisさん
 アン・オブ・クレーヴズ (Anna of Cleves)
  Alexia McIntoshさん
 キャサリン・ハワード (Katherine Howard)
  Grace Mouatさん
 キャサリン・パー (Catherine Parr)
  Maiya Quansah-Breedさん

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