韓国の冬の風物詩になりつつあるミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』(스토리 오브 마이 라이프, The Story of My Life、以下SOMLと略記)。2018年12月22日のちょうどクリスマス前の時期に今季のSOMLを初観劇できたのでその感想を書きたいと思います。私の今季SOML初ペアは写真のキャスト表の通り、
トーマス・ウィーバー:ソン・ウォングンさん
アルヴィン・ケルビー:チョン・ドンファさん
のお二人でした。プライベートでも仲がいいお二人と聞いていて楽しみにしていたこのペア。そんな二人の普段の仲の良さが滲み出ているように感じる、素敵なトーマスとアルヴィンでした。
SOMLに関しては作品紹介記事を書いているので、作品のあらすじなどを知りたい方は以下からどうぞ。
2018-2019年冬シーズンの韓国キャストのみなさまの紹介記事はこちら。
(以下、ネタバレが多く含まれているのでご注意ください)
キャスト紹介記事にも書いた通り、今季初めてSOMLにキャスティングされたウォングンさん。ウォングンさんのトーマスは登場した瞬間から深い苦悩を感じるトーマスでした。アルヴィンの頌徳文の書き出しを紙に書いては丸めて捨てを繰り返す表情は、眉間に深い皺が寄り、吐くため息も大きく深く。大人トーマスは落ち着いた雰囲気のウォングンさんですが、子供時代のウォングントムは元気一杯、あっけらかんとしていてちょっと天然っぽくってかわいい。低い声のウォングントーマスが「The Greatest Gift」の場面で急に高い声を出すと、客席が少しザワついていました(笑)そんなウォングンさんのトーマスの演技で私が一番好きなのは、「1876」を歌うときに、子供の頃の思い出のトムが成長したトムに戻っていき、自分が作家を志すきっかけを懐かしんでしみじみと噛みしめるように
언젠가 이런 얘길 쓰는 게 내 꿈이죠
いつかそんな話を書くのが僕の夢です
と歌うところ。丁寧にゆっくりと歌うウォングントーマスがこのアルヴィンとの思い出をどれだけ大切にしているのかが伝わってきて、早くもここで私は泣いてしまいました。
ドンファさんのアルヴィンは顔全体で笑っているようなニッコニコの笑顔のアルヴィン。ウォングンさんがかなり胸板が厚い体格のいい長身なので、その腹筋は実は6 Packだということを知っていても、ぶかぶかのシャツとニットに大きめのジャケットを着たドンファさんアルヴィンはひょろっとしているように感じ、そんなところもなんだかかわいい。空気を読めないマイペースかと思いきや、変わり者だけど誰よりも敏感に相手の感情を読み取れる繊細で感受性の高いアルヴィンで、悲しいことがあっても笑顔を絶やさない優しさが凄く印象に残るアルヴィンでした。でも、ふとした瞬間にそんな全力の笑顔に悲しみや寂しさが滲んて感じる、とても切ないドンファさんのアルヴィン。ウォングンさんのトーマスが苦悩が深いトーマスで、ドンファさんのアルヴィンが笑顔の裏に悲しみを感じるアルヴィンだったので、この組み合わせではアルヴィンはトーマスが思い描くアルヴィンに限りなく寄って感じました。
トーマスの後悔の気持ちが大きければ大きいほど、どこか寂しそうに見えるアルヴィンの笑顔。「Independence Day」で初めて大都会に繰り出す予定をトムにドタキャンされたアルヴィンが傷ついた顔をしながらもなんとか笑顔を作って「アンニョン、トム」と言うのも切ないけど、アルヴィンのお父さんのお葬式の場面で、それまでどんな悲しいことがあってもそれを覆い隠すようにニッコリ笑っていたドンファアルヴィンが表情を強張らせて上手く笑えずに俯いているのが本当に不憫で、不憫で...。終盤のアルヴィンは余りに不憫なので、「トムの大馬鹿野郎!」って叫びたくなるのですが、「I Didn't See Alvin」以降、「自分は泣く資格はないから」とでも言うように、自分を戒めるように必死に上を向いて涙を堪えるウォングントムを見ていたら、「泣いてもいいんだよ、アルヴィンの胸を借りて泣いちゃいなよ...」って何度も思いました。なので、トーマスの後悔の念を映す鏡のようなドンファさんのアルヴィンが「Angels in the Snow」で全力の曇りのない笑顔を見せてくれたときには、私の涙は止まらず...。
泣ける演技だけではなく、いっぱい笑いも提供してくれたウォングンさんドンファさんペア。この日のレミントン先生のお葬式への潜入方法は飛び込み台から飛び込んでのバタフライ泳法での移動。体幹というか、腹筋の強さを無駄に見せつけてくれるドンファさん。ドンファアルヴィンの無茶振りに軽く頭を抱えてから大きく深呼吸してちょっとぎこちないバタフライを披露したウォングンさん。アルヴィンに追いついたトムの肩バシッが本気入ってました(笑)この二人、プライベートで仲がいいからか、お互いがお互いを叩くときは容赦がなくて、バッチンとめっちゃ痛そうないい音がするので時々心配に(笑)「The Greatest Gift」で本屋の精霊(?)にお願いするところのダンスの振りのキレの良さや、「Here's Where It Begins」のウォングンさんの雪玉の命中率の高さに比べたドンファさんのノーコンっぷりにも大いに笑わせてもらいました。
2017年の1月以来久しぶりにSOMLを観て思ったのは、やっぱりこの作品が大好きだなぁということ。涙と笑いで色々なものを洗い流してくれるこの作品を、2019年は日本でも観れると言うことなので、だいぶ気が早いですがそれもとても楽しみにしています。