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【観劇レポ】ミュージカル『ビリー・エリオット』(Billy Elliot) @ Akasaka ACT Theatre, Tokyo《2020.9.19マチネ》

ミュージカル『ビリー・エリオット』(Billy Elliot) @ Akasaka ACT Theatre, Tokyo《2020.9.19マチネ》

 3年ぶりに再演されたミュージカルビリー・エリオット』(Billy Elliot) の素晴らしいオープニング公演を二日連続で観た後、うわ言のように「あーー早くビリーがまた観たい」と唱え続けた一週間。夢のようなビリー三昧の連休の初日、私にとっては3回目の再演ビリーのキャストは以下の方々でした。

 ビリー:利田太一さん
 お父さん益岡徹さん
 ウィルキンソン先生安蘭けいさん
 おばあちゃん阿知波悟美さん
 トニー中井智彦さん
 ジョージ:星智也さん
 オールダー・ビリー:大貫勇輔さん
 マイケル:菊田歩夢さん
 デビー:小林桜さん
 トールボーイ:高橋琉晟さん
 スモールボーイ:豊本燦汰さん
 バレエガールズ
  北村栞さん1、佐藤凛奈さん2、髙畠美野さん3、並木月渚さん4、古矢茉那さん5
 お母さん:家塚敦子さん
 ブレイスウェイトさん森山大輔さん
 デイヴィ:辰巳智秋さん
 アンサンブル6
  加賀谷真聡さん、茶谷健太さん、倉澤雅美さん、
  板垣辰治さん、大竹尚さん、大塚たかしさん、斎藤桐人さん、佐々木誠さん、
  高橋卓士さん、照井裕隆さん、丸山泰右さん、小島亜莉沙さん、竹内晶美さん、
  藤咲みどりさん、井坂泉月さん、井上花菜さん、出口稚子さん

2020.9.19 マチネのキャストボード 2020.9.19 マチネのキャストボード
 

3回目になり、今回がお初となったキャストの方々は太一くんのビリー、桜ちゃんのデビー、そして安蘭さんのウィルキンソン先生。

 私の2020年再演ビリー初日の観劇レポはこちら。簡単な作品紹介もこちらの記事で書いています。他の観劇回、日本初演や韓国の観劇レポはカテゴリーの『ビリー・エリオット』から飛べるようになっています。

感想

(以下、ネタバレが含まれるためご注意ください。)

 ビリーの日本初演にどのように私がのめりこんでいったのかを知っている方々にはなんとなくバレているような気がするのですが、日本初演で私にとって初めてのビリーだった加藤航世くんと同じバレエスタジオの太一くんは開幕前からとても気になっていたビリー。初演があった2017年のスタジオのハロウィンイベントの写真でビリーの仮装をした笑顔のかわいい男の子がいたのが印象に残っていた私。後から気になって調べてみたら、その笑顔の男の子はまさに3年前の太一くんでした。

 初演のオーディションにも参加していて、初演の舞台を見て、自分もビリーをやってみたいと思ったとインタビューで話していた太一くん。太一くんのビリーはバレエを踊ることやビリーになることへのよろこびが全身にみなぎっていて、そんなところがすごく胸にキュンと刺さりました。うまく伝わるのかわからないのですが、踊っているときの太一くんの笑顔は顔の中心から放射線状にひまわりの大輪の花が咲いて広がっていくような明るさを感じるのです。ビリーとして舞台に立つ太一くんの姿は気負いを全く感じさせない等身大の少年で。とてつもなく色んなことができることを要求されるビリー役ができてしまう太一くんは間違いなくとんでもなくすごい人。それなのに「バレエが大好きなこと以外はいたって普通の近所にいそうな男の子」のように感じる親しみやすい雰囲気がとてもいいなぁ、かわいいなぁ、すごく好きだなぁと思うのです。

 手足が長くてとてもしなやかな太一くんビリーは腕や足を伸ばしたときの振りがとてもきれい。タップダンスも音がクリアで小気味よく。歌うときに少しだけ低くなる声は少年から青年に成長する一歩手前の危うい均衡の真っ只中にいることを感じさせ、太一くんのビリーを観れるのは本当に今だけなんだと強く感じるのです。再演が無事開幕したことには本当に感謝せずにはいられません。とても自然体でありながらも細かい演技の部分にもハッとさせられる太一くんビリー。「Solidarity」(団結を永遠に)の最初のピルエットのレッスンで壁(客席)を見つめる真剣なまなざし、一度頭をくるっと回転させた後に、「あ!こうすればいいのかな?!」と何かを発見したように一瞬目が輝く様子がとても印象に残りました。

 そして安蘭さんのウィルキンソン先生。早くも大好きになりつつある安蘭さんの先生は一見気怠げでやる気のなさそうながらも実はとても熱心で情の厚い指導者でした。お世辞にもお上品とは言えないぶっきらぼうで迫力のあるウィルキンソン先生の姿は無骨な炭鉱夫たちの姿に少し重なって見えてきます。一見厳しそうに見えても言葉や行動の端々に深い愛情がダダ漏れする益岡さんとの組み合わせで観ていると、ジャッキー以上に安蘭さんの先生は愛情表現が不器用な人かもしれないと思えてきます。きっと愛はちゃんとあるはずなのにデビーをぞんざいに扱ってしまうのは先生のデビーへの甘えなのかもしれない、と。内弁慶な先生と基本的にツンツンしているデビーが親娘そろってビリーが気になるのはビリーのまっすぐな素直な部分に対する憧れもあるのかもしれません。安蘭先生の場合、デビーとちゃんと向き合うことはきっと少し勇気を出せばできること。物語のラストで先生がビリーから受け取った感謝の気持ちと幸運の祈りが先生の背中を押してくれていたらいいのになぁと願わずにいられないのです。

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